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読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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1.22(木)読了
エッセイ集。
林真理子のエッセイは二十歳前後にほとんど読みましたが、最近まだ読んでいない本がたくさん出ているのに気が付きました。
久しぶりに読みましたが、軽くてなかなかおもしろい。飲食店に関するエッセイが多いのも昔からかわらないようで(この人は食べることが大好きです)、ダイエットしては食べ、太ってはダイエットをしての繰り返しのようです。

それにしても彼女は行動力がすごいですね。好奇心旺盛というか、家でじっとしていられないタイプなのかもしれません。常にいろいろな所に出かけ、いろいろな人と出会い、さまざまな体験をされている。
エッセイのネタ探しという側面もあるのかもしれないが、それにしても毎晩のように出歩くのはすごい。結婚されて8年くらい経ったのかな? 子供も生まれたという話を聞いたことがあるけど、現在はどんな生活を送っているのだろう。近年の著書も読んで真相を解明しなければ。

この本の最後には、「この国のこどもたちは」という数ページの教育論に関する文章が載っています。
読んでいて、「あー、林真理子はこんな文章も書くのだなぁ」と思いました。真面目な、と言うと失礼かもしれないが、真面目で真摯なこどもの教育に関する文章が綴られています。なんとなく感動しました。

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1.21(水)読了
1970年初頭に自衛隊に所属する歩兵のドラマを描いている。
自衛隊には2つの階級があり、ひとつは襟章の星の数。もうひとつは飯(めんこ)の数、つまり勤続年数だそうです。飯の数はもちろん長ければ長いほど偉く、8年も勤め上げていれば小隊内では「神」として扱われます。

1970年代は高度経済成長時代の真っ只中で企業も人手不足で、大卒は簡単に就職できたそうです。衣食住が賄われるとはいえ月給1万5千1百円の自衛隊に就職するような人はあまりいなく、街中で若者を勧誘して飯や甘言で釣って人員確保していたようです(いまもそうだけど)。必然的に、ヤクザ者、街金での借金者など訳ありの人が多く、そのケツは自衛隊の係の者が拭くそうです。親方日の丸の強みといったところか。

9話の短編から成っていますが、とにかく下っ端は殴られます。走りが遅ければ殴られる、口答えすれば殴られる(当たり前)、極めつけは上官の機嫌が悪ければ問答無用で殴られるといったありさま。かなり悲惨ですね。
よく自衛隊に所属すれば資格をたくさんとれると言いますが、あれも嘘。と言っては言いすぎですが、取得時間がなくて、せいぜい自動車免許を取れるくらいが関の山だそうです。まぁ、長いこと勤めれいれば別でしょうが。

生の自衛隊内部が垣間見れる内容になっています。自衛隊に所属しようと思っている人は一読してみてもいいでしょう。
1.20(火)読了
漫画家の青木雄二氏が医療制度全般について語っている本。
青木氏は2003年に癌のために亡くなられ、この本が最後の著書となりました。その数年前に患った癌で入院した体験を元にこの本を執筆したそうです。

日本に限らないことですが、病院とかかわるときには必ずカネがかかります。そしてレセプトをはじめ新薬研究・承認、健康保険料などといった医療にまつわるカネを決定するのが国・厚生労働省です。当然のことながら、そこには癒着が存在する。

大学病院一つをとっても、医局制度や手術の際の謝礼金問題、ドクハラ問題、医療過誤問題などさまざまな問題があります。医療過誤などはひどいもので、患者側は医療知識などほとんどないものだから、裁判に持ち込んでも10年近くの年月と金がかかり、勝訴率も30~40%がいいところだそうです。
病院側はカルテの改竄や証拠のもみ消しをし、素人では矛盾点などを発見することは非常に難しい。
なにせ一昔前などは、医者の言うことをただ「へへぇ」と聞いて、「先生はよくやってくれました。ありがとうございました」というのがあたりまえという風潮があったそうです。そのため、医者側としてもカルテの改竄などは当然許される行為だと認識している向きもある、と青木氏は述べています。
もちろんすべてがそうであるとは思いませんが、そのような体質があるのも事実だと思います。

そのような医療「秘話」がたくさん書かれています。患者側も多少の知識は持っておいて、いざというときに馬鹿をみないように防衛することが大切でしょう。
1.18(日)読了
中国清朝末期に変法派が、科挙廃止、国会開設、立憲君主制など百を超える改革を旗印として皇帝を動かす。西太后を隠居させ、康有為や梁文秀などを中心に改革に着手するが、あまりにも急激な変革に宮廷の役人たちは反発。改革は失敗、皇帝は廃され、孤島に島流しにされ、改革派は殺害されたり外国に亡命したりする。梁文秀と康有為は亡命した。

再び政権の座に返りついた西太后。第一の側近は李春雲(春児)。西太后は老い、彼女の死後に春児に、宮殿の宝のすべてを渡すことを約束する。春児の若き日に白太太が言った予言は、糞拾いで何の望みもなく死んでいく運命だった春児を励ますための嘘であったが、春児は自分の力で「皇帝の財産のすべてを手中に収めるであろう」という予言を成就させてしまったのだ。だが、春児はそれを拒否。糞拾いの自分は西太后のおかげで死なずにすんだ、宝など欲しくはないと、運命に抗うように言った。

大作歴史小説の下巻です。
文章も内容も素晴らしいのですが、いかんせん長すぎる。2段組で410ページはお腹いっぱいになって余りある文量です。
とはいえ、冗長な箇所は特になく、最初から最後まで筋の通った作品だったと思います。

中国の歴史小説はユン・チアン著の『ワイルド・スワン』が素晴らしかったですが、この『蒼穹の昴』も勝るとも劣らない出来だと思います。好き嫌いはあると思いますが。傑作です。
1.14(水)読了
長年監察医を勤めていた上野正彦教授の、ノンフィクション監察医記録。観察中に遭遇したさまざまな事件、事故などを興味深く書いています。

監察医というのは、簡単にいえば事件性のある死体や外圧が原因で死亡した遺体にメスを入れることによって、死因や死亡時刻などを割り出すお仕事です。れっきとした医者で、身分は地方公務員だそうです。
焼死体の場合は、喉の奥にススがあるかいなかで、死亡後に焼けたか焼死かが判別できます。死んだ後の人間は呼吸をしない。つまり、ススが喉に入り込む余地がないからです。そのようにさまざまなノウハウをもとに、死因等を割り出すのだそうです。

私も大学で「法医学」という授業を受けましたが、なかなか奥が深い学問だと思いました。さまざまな死体写真(首吊りや焼死体、溺死体を含む)を見て、それをもとに死因を解説してくれるのですが、見ているだけで気分の悪くなる写真も多数ありました。
間の悪いことは重なるもので(なにが?)、真夏の暑い時期というのにクーラーは壊れていて、300人収容の教室は熱気と写真で阿鼻叫喚の図となり……。思い出しただけで吐き気がします。
ちなみに「法医学」の試験は超絶難しく、不合格率90%。もちろん私も、お・ち・ま・し・た!

どうでもいいことかもしれないけど、1月9日にブログで書いた『死の雑学』とかぶる文章がある。175~176ページの数行にかけて、一言一句同じだ。盗作かこれは! と思ったが、よくよく見るとどちらも著者が上野正彦。同じ人だったのね……。
1.12(月)読了
題名のとおり、健康に良い食事・食物が書かれています。
この本を要約すると、肉はできるだけ少なく(1日30gくらい?)、代わりに魚介類を食べて、野菜果物をたくさん食する、ということになります。当たり前といえばそれまでですね。

注目すべきはオリーブオイルの効用です。オリーブオイルは最も酸化しにくい油のうちのひとつで(英訳みたい……)、オレイン酸を高率に含んでおり、結果、血液中のLDL(悪玉)コレステロールが酸化しにくくなるそうです。動脈硬化の予防になりますね。

悪い食品の親玉は、意外にもマーガリンでした。マーガリンの脂肪酸は自然界に存在しない脂肪だそうで、体内で吸収分解しにくいそうです。その結果、血管に傷がついて炎症を起こしてしまい、血管年齢が低下してしまう。
この研究結果が発表されてから、米国では1970年をピークにマーガリンの消費量が減少に転じたそうです。2006年には、マクドナルドを中心としたファストフード店で、実質的にマーガリン脂肪の使用を禁じた法律が可決したそうです。それほど人体に害があるということです。

本の最後には良い食品を使用しての料理の作り方が載っています。親切だけど、サンマの塩焼きの作り方を書かれてもなぁ……。

1.11(月)読了
清朝末期の中国の宮廷を描いた壮大な叙事詩。李春雲(春児)という貧しい糞拾いと科挙を第一で合格して参内した梁文秀(史了)を中心として、宮廷の悲喜こもごもが繰り広げられています。
西太后や袁世凱、康有為といった歴史上の人物も数多く登場して、その意味ではノンフィクション作品として読むこともできます。

この本の素晴らしさは、圧倒的な筆力と描写力にあります。特に描写は精緻にして奔放で、読んでいて情景がありありと浮かんできます。適当にお茶を濁したと思われる文章はほとんどありませんでした。

当然ながら内容も素晴らしく、梁文秀が一族の期待を一身に背負って科挙を受けるという場面から、中国における科挙の絶対的な位置づけを知ることができます。科挙は日本における国家一種試験のようなものですが、中国のそれに合格するのは遥かに難しく、合格者を輩出することは一族どころか県の命運を分けるとも言われているそうです。それだけに、合格者は日月を動かすほどの権力を握ることができ、まさに神として扱われます。典型的な官僚支配制度といったところでしょうか。

上巻では梁が公務員として参内、春児が宦官となり曲芸で西太后の眼鏡にかなって昇進、李鴻章や康有為が帝の兄弟を焚きつけて革命を起こそうといったところで終わっています。
2段組で350ページの大著なので、かなり読み応えがあります。これから読む人は、心して読み進めることをお勧めします。

1.7(水)読了
生まれつき手足が不自由なお笑い芸人、ホーキング青山とビートたけしの対談。この2人はお互いの波長が合うらしく、2002年当時にはしばしば合って話をしたりしていたそうです。

対談の内容は単なる障害者論にとどまらず、お笑い、教育、政治内容など多岐にわたって論じられています。青山氏は、障害者を差別しだしたのは高度経済成長において障害者は生産能力がなかったから、と言っています。たしかに生産者という点においては、一般的に障害者は価値が低いような気がします。そして金がすべてだという社会風潮においては、障害者が低く見られるのは必然かもしれません。

たけし氏が指摘するのは、障害者が優しく健全な存在だというのは欺瞞だ、ということです。障害者も人間なので、欲深ければ犯罪も犯す。連続殺人事件を犯す身体障害者がいてもなんらおかしくはない。それはそうです。
ただ、私的には、「障害者が優しい」と思ったことは一度もないので、そのような発想がどこからでてきたのかは疑問です。他人から好奇な目で見られることが多いと思うので、性格面に影響がでることは考えられますが、やさしいというのは……?

お笑い芸人2人の対談ということで、ライトな感じで面白く書かれています。差別的発言も多々ありますが、真意を読み取るならば問題はないでしょう。いろいろ考えさせられる本です。
1.5(月)未読
ショートショートの神様である星新一の生涯を描いた自伝的作品。
この本のすごいところは、新一氏の父親や祖父の時代にまで遡って、星一族のルーツをたどっているところです。

星一族は戦前戦後と栄えた「星製薬」という巨大な製薬会社を設立・運営していたことで有名ですが、戦後、GHQによる嫌がらせや、さまざまな人の思惑もあり、結局は倒産してしまうことになります。星の父親が死去したあと、20数歳の星親一(新一はペンネーム)は社業を継ぎ、社長となります。が、彼は社長業に合わず、不良債権も山盛りという悲惨な状況に会社はありました。結局は倒産。新一氏は作家の道を歩むことになります。

いつしか新一氏はショートショートの神様とまでいわれるようになりました。私も小学生~中学生にかけて、星氏の作品を貪るように読みました。50冊くらいを10回どおりは読んだかな? 生まれて初めてまともに文庫本を読んだのも、星氏の「ボッコちゃん」です。従兄弟からもらった本ですが、本ってこんなに面白いのかと感動したおぼえがあります。

星新一は私にとって神様的存在であるとともに、読書のルーツであるといってもいいでしょう。残念ながら1997年12月27日(だったかな)に亡くなられました。新聞の一面にもデカデカと載りましたが、さすがにショックだった。

残念ながらこの本は未読です。図書館で借りたのですが、返却期限が明日に迫っているのです。550ページを超える大作であり、字も小さく、改行もほとんどない。まともに読むと、10数時間かかります。いや、20時間くらいかかるかも……。
ちなみに現在の段階で377ページ。無念。
1.2(金)読了
プロ小説家を育てるカルチャーセンターを主催している若桜木氏の、小説家になるためへの指南書。
若桜木氏は著作400作以上を誇っており、彼の主催するスクールから作家デビューする率はかなり高いそうです。

プロデビューするための指南やコネの作り方などという外堀、実際に小説を書くための技術やポイントなどが書かれたハード面の2つからなっています。

この本を読むのは2度目なのですが、小説を書くための具体的な内容が書かれているので、とても役立ちます。若桜木氏はこの分野ではとても有名な方だそうで、類書なども多数出版されています。

作家を目指している人はもちろん、書いてみたいがどうやったらいいか分からない人、簡単な論文作成が必要な学生たちにもお勧めです。
彼の他の本も読んでみたいのですが、なぜか本屋でも古本屋でも見つかりません。図書館で借りるかな……。


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