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読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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3.12(木)読了
フリーター、実家の衣服店手伝い、地方公務員福祉課員、軽度知的障害者、4人の26歳の男がチームを結成。目的はズバリ、東京のアメ横を少しでも良くするガーディアンエンジェル。
名前はかっこいいが、やることは毎晩集まって自転車整理や酔っ払いの解放など。それでも4人は商店街から慕われ、町を守る行為に充実感を感じていた。
昼はイベントコンパニオンで夜はストリートガールというプラス1人も加わり、さまざまな事件を解決していく。

1話完結形式で全8話掲載。不定期連載されていたものを一冊にまとめたものなので、1話40ページ程度でコンパクトに書かれています。

石田依良という作家の本は初めて読んだのですが、素直に書いているなぁという印象を持ちました。難しい漢字や表現は使っていません。ストーリー展開で読ませるといった感じでしょうか。とても読みやすい。

直木賞をはじめ多数の賞も獲られている作家なので、おもしろく書くコツのようなものを知っているような気がします。機会があれば他の作品も読んでみたいと思います。

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3.11(水)読了
小説家へのアンケート本の中で、どなたかが(伊坂幸太郎氏だったかな?)が絶賛していたので、読んでみました。

小学校5年生の主人公の少女が、スパイのニコライ、ニコラス、オヨヨ大統領などという子供だましのようなネーミングの人たち相手に大活躍するという話です。漫才と冒険活劇をミックスしたような感じですが、おそろしく場面展開が早い。
さっきまで動物園にいたと思ったら、急に潜水艦に乗り込んで変な島に行き、ヘリコプターに乗って大脱出する。原爆がどうの米軍が嫌いだの、少々風刺めいたところもあり、いろいろな意味でごちゃまぜ。

絵本を卒業した子供やせいぜい小学生を対象とした本のようで、ひらがなを多用した軽い文章で書かれています。
さすがに面白いとは感じませんでしたが、小学生の頃に読んだら面白いと感じたかもしれない。『ズッコケ3人組』シリーズとか好きだったし。

続編の『怪人オヨヨ大統領』もまとめて図書館で借りたのですが、読むかどうかは微妙。気が向いたら読んでみます。
3.10(火)読了
プリズンホテルシリーズ完結編。
前回はパープーお清と結婚した小説家が、今回はついに直木賞ならぬ「日本文芸大賞」を受賞する。それも大本命で「ブッちぎりの恋愛物語」である『哀愁のカルボナーラ』をさし抜いての受賞に、担当者の荻原みどりは号泣。
一方、52年間の投獄生活から出所したかつての同門相手に、プリズンホテルの極道一同は祝儀チンチロリン大会を開いたが思わぬ大敗。黒田は5000万円、その他の者もじいさんに大金を巻き上げられて抜け殻となる。
役者志望の13才の女子に繁は一目惚れし、服部シェフは請われてクラウンホテルのグランシェフとなり、奥湯元あじさいホテルを去る。
小説家の育ての母、富子は失踪。ジュショウインタビューの最中に電話があり、どうやら病院で死を待つ身となっているらしい。小説家は涙ながらに死なないでくれと叫ぶが、電話は切れてしまう。

全四巻の堂々の完結編は大団円で終わりを迎えました。
こうして四冊を読んでみると、あらためて浅田次郎という作家は多種の作品を書くことのできる人物だと思いました。
本人いわく「偉大な習作」と呼んでいるようですが、なるほど、いかにも習作という感じがする作品です。つくりが荒い部分もあり、やや大味になってはいますが、四冊とも軽妙におもしろく仕上がっています。

それにしても、パープーお清の母親は心臓病を患って大変だったはずですが、小説家と結婚して一緒に暮らしはじめてから登場してしません。いったいどこにいったのでしょう? そこは無視して終わってしまったか。
3.8(日)読了
人間とバケネズミとの戦い。バケネズミは人間の子供を洗脳し、その子の呪力を使用して人間たちを襲わせる。その子は、八丁標の外に逃亡した守と真里麻の産んだ子だった。守と真里麻は子を産んだ後、子どもを奪われ、バケネズミに殺されたのだ。
最終的には子供は殺され、バケネズミ側の氾濫は失敗に終わる。禁断であったバケネズミのDNAを、覚が調べたところ、新事実が明らかになった。バケネズミの染色体は、人間と同じ23対。かつて、呪力をもたない人間を迫害し、追い詰めていった歴史があった。呪力をもつ人間たちは、お互いに呪力をもって殺し合いをおこなうことを避けるために、自身の内に攻撃抑制のDNAを植え付ける。これは、殺意をもって人間を攻撃した場合、呪力によってホルモンが異常作動を起こして死に至るというものだ。だが、問題があった。呪力をもたない人間たちに攻撃抑制を作動させることはできないため、その者たちは、別のモノに変化させられた。ハダカデバネズミのDNAと融合させて、バケネズミにされたのだ。

なんとなく『猿の惑星』を思わせるようなラストでした。人間が一番偉く、それ以外の生物はあくまでモノであるという、ヒューマニズムに対する痛烈な批判がこもっているような印象があります。

内容はまずまずなのですが、ハードブックの上下巻あわせて1073ページは納得がいかない。
上巻での感想でも書いたけど、いらない文章や場面が結構あるように思う。ダラダラと文章を書いている感じは否めない。半分とはいわないまでも、700ページくらいに縮めて密度を濃くしてほしかった。

あと、この本は、主人公の渡辺早季の一人称視点で、過去を回想する形式で進行しているが、早季の思考がご都合主義ような気がする。主人公が仮定した事柄が、ことごとく現実の内容になっている。これはしらける。もう少し複線を張ったり、合理的で納得のいく説明がほしかった。

大味でずんぐりといった印象。食べ物にたとえるとロブスターか。
貴志氏の既刊本と比べると、辛い点数をつけざるをえ得ない。まぁ、好みの問題かもしれないけど。設定は悪くないため、惜しい一冊といえる。
3.5(木)読了
接待中に死亡した商社マンの椿山。死して彼は死後の世界に旅立つ。そこでは役所のように死後のコースが定められており、悔恨の証にボタンを押すさえすれば、ほとんどの魂が極楽に行けるというシステムになっていた。
椿山はまだ死ぬわけにはいかない。百貨店は初夏販売促進セールの初日を迎えており、このセールが売上目標達成できるか否かの分かれ目だった。そして家には愛する妻子もいて、昨年購入した一軒家のローンもたくさん残っている。おまけに書斎の机の引き出しには、趣味のエロ本、エロビデオが押し込まれている……。椿山はボタンを押さずに、現世へ戻るための聴聞を希望する。聴聞室では椿山の他に2人の魂がいた。一人は元ヤクザ、もう一人は7歳の男の子だという。それぞれ現世に未練を持っており、聴聞を受けに来たのだそうだ。
お役所仕事のおかげで、「特例」として3人とも現世へ戻ることが許可された。戻れる期間は初七日までで、正味3日しか残されていない。椿山は寝て目覚めると、自分が若い女の姿に変わっていることに気が付く。この姿で、「期限遵守」「復讐禁止」「正体がばれない」の3点を守りながら行動しなければならない。もし破れば、地獄行き。
3人はそれぞれのやるべきことをやるため、行動に移る。

主人公が最初の場面で死んでしまうという斬新なストーリーです。現世に戻った3人は、実は複雑に絡み合った3つの魂でした。いかにも小説っていう感じで、「そんなわけねえだろ」と言いたくなりますが、そこはそれ。ミステリの要素も入っているので、その分野が好きな人も楽しめると思います。

この本を読む2日前、テレビでこの本の放映がされていました。2時間ものでしたが、読む前に観るわけにはいきません。読んだ後に、「あの場面はどういうふうに撮ってるのかな?」と観るのはいいのですが、逆はねぇ……。
なかなかおもしろい本だったので、いつか機会があればテレビ版もみてみたいと思います。
3.3(火)読了
プリズンホテルこと奥湯元あじさいホテル。任侠御用達のホテルに今回も訳ありの客が登場する。リストラ寸前の女編集者、自殺志望の少年、世界的登山家、患者を安楽死させたペインクリニックの権威、そして<血まみれのマリア>という異名を持つ救急救命看護士。
以上の五人を中心に物語が進行しますが、主として登山家と少年、医者と看護士の話が独立平衡して2本立ての物語となっていると考えたるといいでしょう。

さらに今回のラストは、主人公である小説家がパープーお清にプロポーズを……そうきたか、浅田次郎。べたべたのラブストーリー仕立てにしちゃいましたね。

今回のストーリーのテーマを一言でいうと、「生きる」ということでしょうか。みんながみんな生死に関わるところで、プリズンホテルで何がしかの結論じみたものを手に入れています(女編集者は定かではないが)。
気にかかったのは、少年が登山家とのジャンケンで勝ってしまったこと。あれはどういう意味だろう? 少年は自殺を決意したのだろうか……? 著者に問いただしたいところではある。
3.2(月)読了
浅田次郎が競馬場で語った内容を友人が書き留め、それを叩き台として一冊のエッセイ集にしたというタナボタ的な本。
ほとんどが競馬に関する内容で、本業である小説家としての姿はなりを潜めています。浅田氏の競馬に対する情熱および真摯な態度にはおもわず平伏してしまいます。
競馬だけではなく、ラスベガスに行ってカジノに耽溺したり、オーストラリア、香港、旧満州を訪問したこもと多数書かれています。どこに行っても競馬やカジノで遊んでいるなーと感心しました。

巻末には秋元康氏との対談の様子も掲載されています。ご両人とも中央大学付属高校卒でギャンブル好きということもあり、とても和やかな雰囲気で語り合っています。お二人とも高校時代から、競馬、麻雀、ギャンブルに浸っていたという本格派です。

ちなみに私はギャンブルはしません。パチンコすらも敬遠しています。
ほんの少し負けただけで一日中ガックリしそうだし、のめり込んで所持金全部とられてスッテンテンになってそうだし。
お遊び程度でやるんならいいけど、度を越したら大変なので、絶対にや・り・ま・せん!
3.1(日)読了
対談集。14人の主に作家とさまざまな事柄について話し合っている。
注目すべきは、元台湾総統の李登輝との対談だ。漫画家の小林よしのり氏の『ゴーマニズム宣言』というフィクション漫画があって、そこで台湾問題を論じている回があるのだが、そこで李登輝と小林氏が対談したときの様子が描かれている。それ以来、私は李登輝に親密感を持っている(かなり単純)。
李登輝と浅田氏は主に教育について語り合っているが、その要というか土台が、日本人の場合は「武士道」であるという。一方の台湾にはそれに相当するものが無いようだ。台湾という中国との微妙な位置関係も影響しているのだと思う。中国には「儒教」という堂々とした思想がある。日本は「武士道」。台湾は……ということで、「家庭教育法」という法律を制定したそうだ。法律は道徳の最小限度という考え方があるが、道徳の土台を法律で律しなければならない国というのは不幸だと思う。ま、今の日本もそうかもしれないけど。

そのほか、アイヌの歴史や幕末日本を中心に、大勢の歴史作家と語り合っています。エッセイ集とは打って変わって真剣な内容に、浅田氏の小説に対する真摯な態度を垣間見ることができます。対談本っていいっすね。
2.28(土)読了
1000年後の日本を描いたSFファンタジー小説。
八丁標という結界に守られた人間の住む町。八丁標から外に出ると、おそろしい業魔が襲ってくると大人は子供を教育し、子供はそれを忠実に守っている。そしてこの時代の人間はみな、超能力を使用することができた。
学校の7日間合宿で、早季のグループは興味本位から八丁標から外に出てしまった。その罰として、超能力を奪われてしまう。
八丁標の外では、人間並みの知能を持つようになったバケネズミたちが激しい縄張り争いを繰り広げていた。超能力を持つ人間たちを「神」と崇めているドブネズミたちは、早季たちに敵対する外来種のバケネズミたちの退治を依頼する。早季たちはそれに応じ、外来種を全滅。無事、家に戻る。
2年後、早季のグループの優等生、瞬の様子がおかしい。どうやら業魔(橋本・アッベルバウム症候群)に侵され、超能力の放出が制御できなくなってしまったらしい。瞬は結界内の小屋に入れられる。早季は瞬を救いに小屋に行くが、ついに瞬は超能力の放出を抑えきれなくなり、小屋もろとも地面に沈んでいってしまった。早季を空高く脱出させて。

尊敬する貴志先生の最新作(といっても1年前に刊行)ですが、それほどおもしろいと感じない。10代前半~中盤の少年少女が主人公ということもあって、少しライトノベルのような感じがする。ご都合主義的なところも多々見受けられ、主人公の少女、早季の思い描いたことがバカ正直にそのままストーリー展開に反映されている。言い方は悪いが、素人が書いた小説っぽい。

まぁ、この作品は貴志氏の実質的な処女作であり(『13番目のペルソISORA』以前に書かれている)、1800枚もの分量にリメイクして刊行したもののようなので、素人っぽいのは無理もないかもしれない。冗長なシーンもいくつかあり、できればあと100ページくらい削って作品の密度を上げてもらいたかった。無意味に長い小説は読む時間の無駄であり、疲労も溜まる。

今回はかなり辛口のコメントです。貴志祐介は私が最高の作家の一人として位置づけている人物なので、心を鬼にして辛口です(偉そうに)。
それに、まだ上巻を読んだだけです。おもしろくなりそうな雰囲気はかなりしているので、不安と期待を抱いて下巻を読んでいきたいと思います。
2.24(火)読了
エッセイ集。第一巻『勇気凛々ルリの色』よりもおとなしくなった印象がある。そして、『蒼穹の昴』を脱稿し出版したのがよほどうれしかったのか、それについて何度も語っている。ネタが無いのか? といぶかしむほどだ。

本書の副題に「四十肩」とあるが、浅田氏は44歳でこれになってしまったそうだ。いわく、背中の肩甲骨の下のあたりの、指先ほどの面積が呻くほど痛い、のだそうだ。凝りとは違うのだろう。しばらくすると軽快したようだが、なりたくない病?である。

ダイエットネタもいくつか。浅田氏は高コレステロールと診断され、ダイエットを命令された。その結果5キロの減量に成功したそうだが、再度検査でコレステロールは一向に減少していない。それもそのはず、このヒト、ちゃんとした食事をとらずに毎日チョコレートケーキの一本食いや大福などをたらふく食べて、ちょうじり合わせのようにして「見かけの」体重を減らしていたのである。最悪。

というようなエッセイ集。三巻を先に読んだが、ネタの重複はあきらかで、やっつけ仕事の感はいなめない。四巻が出ても読むかどうか微妙。


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