読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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2.23(月)読了
プリズンホテルこと奥湯元あじかいホテルに同時宿泊した警察御一行様と任侠団体御一行様。鉢合わせに全員が気付いたのは夜の宴会の場であり、折りしも警察御一行の食卓には油フォンデュの用意が整ったところであった。対する任侠団体御一行の善は1人6万円の豪華な膳で、食器が多数。当然のように争いが始まり、鉄串や食器が乱れ飛び、両御一行入り乱れての大乱闘となる……。 このテーマは浅田氏が実際に任侠団体に所属(?)していた頃にあった話を再構成したもののようです。浅田氏が所属していた任侠団体の隣の部屋では警察団体が宴会をおこなっている、しかもそのホテル(旅館?)を手配したのは浅田氏ということで、「生きた心地がしなかった」とエッセイ集で本人が語っています。 人間関係が入り乱れすぎていて、読むのが大変でした。私はミステリをほとんど読まないのは人物相関図が頭に入りきらないのが主たる原因なので、この本は私の弱点をズバリついています。 人間関係を複雑にし過ぎないで欲しい、と叫びたくなる一冊でした。 PR 2.19(木)読了
2.17(火)読了
浅田次郎の初期作品。ヤクザの憩いの場である「あじさいホテル」は、その客層からプリズン(監獄)ホテルと呼ばれている。極道小説で売れっ子になった作家、木戸孝之助は叔父の経営するこのプリズンホテルに逗留することになったが、そこでの出来事はまさに、事実は小説よりも奇を地で行くものだった。 多数を占める極道とごく少数の素人さんが宿泊するこのホテル、木戸の宿泊した時はとりわけ妙な客層だった。任侠団体御一行は常のことだが、流れのヒットマン、超一流ホテルから飛ばされてきた支配人と超一流フレンチシェフ、会社が破産して心中希望の一家四人、そして――木戸孝之助の実の母親。 この小説は浅田次郎の自伝的内容になっているそうです。彼のエッセイ集をあらかじめ読んでいたので、「ああ、なるほど……」と合点がいきました。浅田氏は幼いころ両親が離婚しており、腹違いの兄弟も何人かいるそうです。その他複雑な事情が多数あったようで、とても苦労されたそうです。その実体験を下敷きにしてこの小説を執筆したと。 内容的には、まずまずおもしろいのですが、初期作品ということもあってか浅田氏の特色である緻密な文章は成りをひそめていて、軽いタッチですーっと書いているといった印象です。ややライト感覚で読めるので、一冊を読みきる時間は思ったより短いです。 「プリズンホテル」シリーズは全四巻あって、1994年にテレビドラマ化もされたようですが、よく覚えていません。これから一気に全巻読破したいと思います。
2.15(日)読了
対談集。16人の作家・文化人と対談しています。 話の内容は人によって千差万別ですが、割とギャンブル関係の対話が多かった気がします。浅田氏は競馬をこよなく愛しているので(馬主でもあるそうです)、そのつながりでのセッティンでしょう。 浅田氏の生涯(まだ生きているが)も多数語られています。彼は幼い頃はお金持ちのボンボンの息子で、私立幼稚園に通いバブリーな生活をしていたそうですが、中学生の頃に家が破産、両親の離婚などがあって、高校卒業後にかなり苦労をされたそうです。ヤクザな世界に足を踏み込んだのも、多少のリスクを背負っても短い時間で高収入を得られ、空いた時間で小説を書きたいからだそうです。「小説家になる意外は考えられなかった」そうです。 しかしヤクザな世界が光明をもたらした。その自伝的小説でデビューを果たし、ついには直木賞を受賞。塞翁が馬というか。人間なにが幸いするかわからないものですね。むろん、努力の賜物であることは言うまでもありませんが。
2.14(土)読了
御徒歩の別所彦次郎は文武両道の30男。それが見込まれて300俵取りの上役の入り婿となる。しかし跡継ぎ息子が生まれた後、あらぬ陰謀により入り婿先を追い出され、実家で浪人生活を送っている。 ある日、彦次郎は小さなお稲荷さんを拝む。出世の神と思い祈願したところが、あろうことか、不幸の神が宿っている稲荷であった。彦次郎を貧乏神、疫病神、死神が襲う。彦次郎はそれらの悪神を他人に移してしまう。入り婿先が没落し、実の兄が病気になる。彦次郎は実家の当主となり、御蔵番の勤めを始める。 幕末~明治維新の日本を舞台に、一介の御徒歩が「侍」の在るべき姿を模索し、自身の存在意義に沿って命を散らしていく。主君のために命を捨てて奉公するのが侍の矜持であり、死神に取り憑かれながらも数ヶ月の命乞いをして、15代将軍徳川慶喜の影武者として出陣します。 浅田次郎の作品にしてはめずらしく、悪神というファンタジーの存在が出現します。これを何かの示唆的な実体と見ることもできます。途方もない困難な状況下においても、侍というものはかくあるべきということが描かれています。所謂武士道。 個人的にはいまいちという感じがしますが、言わんとすることは伝わってきます。武士道なんて、今の世の中では死語ですね。であるからこそ、心惹かれるし、感動もします。 2.12(木)読了
2.11(水)読了
エッセイ集。 林真理子のエッセイを続けて読んでいると、ときどきネタが重なっていることに気づく。これは知って書いているのだろうか? たとえば原田宗徳氏なんかは、西早稲田キャッチボール同盟(だったっけ?)というのを友人と2人で結成し、キャッチボールをやったなどというどうでもよさそうなネタを繰り返し繰り返し使っている。あざとい作戦だが、あれだけエッセイを書いていればネタという点からそうせざるを得ないのだろうと、親心のようなものが湧く。仕方ないではないか、と。 林真理子もエッセイを量産しているので、重複はしかたがないかもしれない。温かく見守ることにしよう。 ちなみにこの本、数年前に読んだかもしれない。何篇か見覚えのある内容があったので、「やっちまったか」と読みながら眉をひそめた。ぐすん。 「皆勤賞」というタイトルは、おそらくエッセイ500回記念としてつけられたものでしょう。皆勤で500回! って、素晴らしい。
2.10(火)読了
短編小説6編収録。どれも明治維新前後の話。 浅田氏の時代小説の短編は(長編も)、明治維新前後の武士の身の処し方についてのものがほとんどです。どうやら自身の祖父に昔語りに聞かされた話が影響しているのだと思います。今作品のいくつかも、祖父から聞いた話を寄せ集めて一つの物語をでっち上げた、と出典を明らかにしています。 表題作の「お腹召しませ」は、女と駆け落ちした養子息子の罪を義父が切腹して償うという話ですが、その家族が冷たい。妻と18歳の娘は盛んに「お腹召しませ、お腹召しませ」と言い、上役も「お腹召しませ」と、判で押したように申し渡す。介錯を頼む友からは、「自殺の手伝いなんてやだよ」と冷たくあしらわれる。武士として切腹するのはやぶさかではないが、このような扱いに主人公はほとほと嫌気がさし、切腹をとりやめる。 武士のたしなみとしての切腹と家族・友人の邪険な扱いがコミカルに対比されており、落語を読んでいるようでとても楽しかった。 物語の冒頭に浅田氏の短いエッセイ風の文章が入っているが、好きになれない内容のものがいくつかある。若い時分にフーテン狩りをしていた、などというのは、挿話として出すのはどうかと思う。不快な気分になる。本編と関係ないところで浅田氏の点数を下げており、そこだけが残念だ。
2.8(日)読了
エッセイ集。 浅田次郎氏のエッセイは初めて読んだが、存外、面白い。自衛隊時代の裏話や2年の期間満了後に、今でいうマルチ講に手を染めてぼろ儲けしたり、といった内容が硬筆の文章で書かれている。 下ネタも多い。嘔吐、金玉、ゲロ、クソ、などといった下劣な単語が飛び交い、存外、面白い。不覚にも声をあげて哂ってしまった。 自身のハゲネタや競馬場でのネタ(浅田氏は大の競馬好きで、専門誌にコラム欄も持っていたらしい)、時々真面目に論じている時事ネタは今となっては古いものだが、なかなか良い。 浅田氏は若い頃に相当ヤンチャだったらしく、というか、半分ヤクザのようなものだったらしい。企業舎弟のようなこともしていたようで、「その筋の者」に拉致監禁されたことは数知れず、よく生きているなぁとご本人も語っている。 『蒼穹の昴』を執筆したイメージからは想像もつかない人生と人柄のようで、読んでいて思わずのけぞってしまったのは私だけではあるまい。 エッセイや対談本には当たり外れがあるが、浅田次郎氏のエッセイは「当たり」だ。ほかにも数冊出版されているようなので、さっそく読んでみようと思う。
2.8(日)読了
切腹した新撰組隊士であり南部藩脱藩者の吉村貫一郎。その息子は17歳になり、父の汚名をそそぐべく鳥羽・伏見の戦に参戦、命を捨てる覚悟であったが、それも叶わず。津軽海峡を北上し、旧幕府軍最後の砦である箱根の五稜郭を命の捨て場とする。 大野は奥羽越列藩同盟を堅持する方向で藩論を纏め上げる。官軍に寝返った秋田藩を攻撃、官軍に攻め立てられ、ついには奥羽越諸藩は壊滅。南部藩も恭順の意を示す。その責をとり、大野は斬首される。 貫一郎の娘は、彼の元上司である大野の息子と結ばれ、医者となり中国の奉天で町医者となる。そして貫一郎の脱藩後に生まれた末息子は、父と同じ「貫一郎」と名付けられ、大野の中間(ちゅうげん)に背負われて、越後の豪農に預けられる。後に帝国大学で農学を修め、農学博士として米の品種改良を行う。 義士である吉村貫一郎を中心として、それに関係するさまざまな人物の供述、回顧録のような形態で物語が進みます。貫一郎の一人称が南部言葉で語られたと思ったら、次には新撰組の斉藤一の回顧録、次は貫一郎の息子の一人称、大野の中間の一人称、回顧録……。 語りの人数が多いので、重複する文章や内容もありますが、それらをパズルのように重ね合わせて、人物像を浮かび上がらせるという楽しさもあります。 この小説を読んで、浅田次郎は巧い作家だと、つくづく思いました。面白い作家、泣かせる作家というのは割といますが、巧い作家というのは案外少ないものです。 時代小説の楽しさも、浅田氏の本を読んだことで知ることが出来ました。歴史関係は好きなのですが、なぜか小説で読もうとは思いませんでした。恥ずかしながら、「翔ぶが如く」も読んだことがありません。これを機会に、読むジャンルを広げてみようと思います。 |
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