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読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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10.22(水)読了
奥田英朗の処女作。なんというか、彼の最初の作品がこんなにシリアスなものだとは、正直以外でした。文章的にもちょっと硬いかな。
雰囲気でいえば、村上龍の作品のようであり、村上春樹を連想させる単語が書かれていたりして、いい意味でも悪い意味でも1970年代の物語でした。

内容は、ジョン(ジョン・レノンのこと)が過去のトラウマに苛まれて、最後には救いを得られるという話。暗い雰囲気の部分もありましたが、お得意のユーモラスな場面も盛り込んでおり、処女作としてはまずまずの出来だと思います。

タイトルの「ウランバーナ」というのは、作中でも説明がありましたが、サンスクリット語で「最悪」という意味らしいです。日本では訛って「盂蘭盆会」となったそうです。
なんでも、お釈迦さまの弟子である目連(モッガラーナ)が、地獄に落ちて苦しんでいる母親を見つけ、なんとか天国に送りたいと思った。お釈迦さまの知恵を借り、旧暦の7月15日に救うことができた。それを記念して釈迦がその日を「ウランバーナ」の日と定めた、とのこと。

作中では、ウランバーナの森は、救済の森とでも呼びたくなるほど素晴らしいものでした。
結論的には、ハッピーエンド。読後感もまずまず。お得意の(?)精神科医も登場しています
。(伊良部一郎にあらず)

奥田英朗の作品としてはちょっと物足りない気もしますが、それは彼の作品がどれもすばらしすぎるから。十分、読むに耐える内容にはなっています。
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10.21(火)読了
涼宮ハルヒシリーズ第8巻。中篇2編。

・編集長★一直線!……文芸部の活動をまったくしていないことを理由に、新生徒会長が文芸部の廃部を通告する。そうなると、必然的にSOS団も部室がなくなり、消滅の危機に瀕することになる。
文芸部廃部を免れるためにハルヒたちは、生徒会長に言いつけられた文芸活動であることころの「部報」を制作、発行することにする。執筆陣はSOS団メンバーおよび準メンバーたち。キョンは恋愛小説を書かされるハメになるが……・

 なかなかおもしろい話に仕上がっています。新生徒会長は「機関」の息のかかった人、つまり古泉のお仲間です。ハルヒを退屈させないために、廃部の危機を作り上げたわけですね。おつかれさまです。

・ワンダリング・シャドウ……SOS団に喜緑さん以来の依頼が!(シャレにあらず)
ハルヒのクラスメイトの阪中さんの飼っている犬が、散歩中に怯えるようになる。阪中さんいわく、「幽霊がいるのではないか」。真相を確かめてほしいと依頼されたSOS団。
結局、その正体は幽霊ではなく、思念体の一種だった。思念体が隕石のように宇宙から降ってきて、落下地点を中心に犬たちは近寄れなくなったというわけ。おまけに思念体が犬にとりつき、病気のようになってしまう。長門がキョンの飼い猫「シャミセン」に乗り移させて、めでたしめでたし。シャミーはますます変態猫になってしまったとさ。なんせ、人語を操って思念体を抱えている猫なんだもん。地球上に2匹といないでしょう。

今回は7巻をすっとばして8巻を読了してしまいました。
これというのも、図書館で7巻の返却が遅い先客のせい……って、シャレみたい。
いまさっきネット予約をみたら、ようやく返却してくれたようなので、近々借りて7巻読もうと思います。われながら、律儀だなぁ、ほんと。
10.20(月)読了
奥田英朗の長編小説。
町工場の親父とヤクザまがいの少年と女性銀行職員の3人が物語を紡ぎあげます。
最初はバラバラに物語が進行していますが、後半から徐々に接点が出来あがっていき、最後で3者がくっつくという設定。

主人公役の3人は3人とも、それぞれ「最悪」な状況に陥っています。
そのなかでも特に町工場の親父さんの悲惨度はかなりのもので、読んでいてハラハラするやら同情するやらで、気がつけば物語にどっぷりつかっていました。

奥田氏の小説は中短編しか読んだことがありませんでしたが、この長編を読んで、やはりただ者ではないと思いました。おもしろい。
特に描写力はかなりのものだと思います。工場仕事の様子などはかなり具体的で、ぐいぐいと引き込まれます。
貴志裕介にちょっと似ているかな。『黒い家』を思い出しました。

最後の設定は少々ご都合主義的なところもありますが、エンターテイメントとしては十分楽しめるものとなっています。

2段組400ページと少々長い小説ですが、読後感は良いです。
この内容と重量感にもかかわらず、この本って何の賞も受賞していないんですね。獲ってるのかな?
個々人的には、直木賞候補になっていても不思議ではないほどの出来だと思います。
大満足の1冊でした。
10.17(金)読了
中短編集。今回は伊良部一郎精神科医が出演しています。
いつものように伊良部医師は注射場面を眺めながら興奮しています。変態です。
ちょっと変化があったのは看護婦(看護士ではない)のマユミちゃん。いつもより多少アグレッシブになっています。ほんの微妙な変化ですが、見逃すべからず。

この巻は、タイトルの「町長選挙」以外すべて、実在の人物を風刺しています。
具体的にいうと「ナベツネ」「ホリエモン」「杉田かおる」。はっきりいって、めちゃくちゃおもしろい。そして、感動したりちょっとほろりとしたりします。冗長ですが、本当におもしろい。

この人は本当にユーモア小説が本当に上手い。電車で読んだら大笑いするかもしれません。
この本以外にも3冊読んだことがありますが、短編集すべておもしろかった。いまのところ、ハズレはありません。

現在は『最悪』という本を読んでいます。
これは氏の2作目の作品で、シリアスな長編小説です。
まだ序盤(60ページくらい)ですが、読ませます。すばらしい。

本当は処女作『ウランバーナの森』を先に読もうと思っていたのですが、図書館の予約の関係でこちらを読むのが先になりました。本屋で購入して前作揃えたほうがよかったかなと、ちょっと後悔。

はっきり言いますが、奥田英朗という作家は、私の中でベスト3に入る小説家です。
大尊敬する貴志裕介氏に勝るとも劣らない、それほどの物を書かれていると思います。
あえて言います。この人の作品をひとつでいいから読んでみてください。はまること請け合いです。
10.16(木)読了
涼宮ハルヒシリーズ第6巻。5巻からなる中短編集です。
今回も合宿にいったり、推理をしたりとSOS団は大忙しです。とはいえ、少々マンネリ気味。6巻も読んでいると、作者の意図というか戦略がわかってくるので、ある程度先が読めてしまうというのもあります。

さて、ハルヒシリーズの特徴(?)として、時間があちこちに飛ぶというものがあります。
これは文字通り時空をトリップする物語であったり、ある巻の中に別の巻の物語が挿入されているという意味でもあります。「バック・トゥ・ザ・フゥーチャー」方式ですね。
それによって話的におもしろかったりもするのですが、内容が必要以上にごちゃごちゃして読み難いというマイナスもあります。

作者もその辺を慮っているのか、今巻のあとがきで、「次巻から時系列にそって書いていく」というようなことを書いています。そのほうがいい。
物語のはめ込み方式はちょっとしたアクセントとして活用されることを望みます。

さて、次の7巻は図書館で先約があるらしく、まだ借りることができません。
早く読まないと、「はめ込み方式」に負けて内容がわからなくなってしまいます。
はよう読んで返してくれい!
10.14(火)読了
SF短編集。9編からなっています。
1976年に発行された本なので、実に32年前に書かれたものです。近年はSFの書き手も少なくなってしまった感がありますが、そのころはSF全盛期だったそうです。

表題作の「ぼくたちの創世記」が一番おもしろかった。これは、近未来にDNA等の不具合により危機的状況に立たされた人類が、窮余の一策として過去に人類の男女50名ずつを送り込むという話です。
そこで大繁殖して、未来人のDNAそのものを変えてしまおうという、実に大胆というかマッドというか伝じゃらすというか……こういうの、好きです。

他の作品もDNAや生化学系の内容が多く、当時、深刻な公害病となった「イタイイタイ病」の元凶である有機水銀の話なども盛り込まれています。
SFというよりもむしろ、当時の社会の風刺的な作品ですね。

この人の本ははじめて読んだのですが、作風としてはミヒャエル・エンデに似ているなーと思いました。エンデのSF短編集で「メルモにおまかせ」というものがあるのですが、それがこの本に収録されていても違和感はないと思う。

さーて、久しぶりのSFでしたが、たまに読みたくなるんですよね。時間ものとか冒険ものとか。
誰か良いSF、推薦してくれませんかね?(自分で探しましょう)

10.11(金)読了
ケイシーの前世とカルマに関するリーディングの本。
一般的にカルマというと「悪いことをした罪の償い」という意味にとられがちですが、実はそうではない。
悪いことをしたらその罪を償うという意味だけでなく、良い行為の反動として良いことが返ってくるという意味も含まれているようです。

つまり、カルマというのは「作用と反作用の法則」ということなんですね。そう考えると実に科学的(かな?)
そしてその法則は完璧であって、どのような存在もその法則をすり抜けることはできない。ふむ。天網恢恢疎にして漏らさず。

そのようなカルマの法則を、ケイシーリーディングをもととした事例とともに解説したものが本書。
ケイシー本はたくさん刊行されているので、他の本と重複している内容も多々見られますが、それを差し引いてもなかなか良い内容が書かれています。

実は、この本を読むのは2度目です。
図書館で未読と思い借りたのですが、読み進めているうちに「ん……読んだ……」でした。いやー、ボケてますね。
まぁ、内容がいいから良しとしましょう。おすすめです。
10.10(金)読了
涼宮ハルヒシリーズ第5巻。今回は短編と書き下ろしです。

夏休みが永遠に終わらない「エンドレスエイト」。古典的だけどなかなか面白い。
これは夏休みに充足感をもてなかったハルヒの願望が現れたものらしく、なんと1万5000回以上も8月最後の2週間を続けれているというお話です。もちろん本人たちはそれに気づいていない。まっ、気づいていたら気が狂うだろうけどさ。

第1巻でパソコンを盗られたコンピュータ研究会から、パソコンを賭けてコンピュータゲームの挑戦を突きつけられる「射手座の日」。
まぁ長戸がいるから……負けるわけないよね。目出度く敗北したコンピ研はまとめてSOS団準団員となったとさ。

書き下ろし作品の「雪山症候群」。
今回はSOS団で冬の雪山へ。合宿所は鶴屋さんの別荘。彼女は大金持ちの家のセレブ女子高生らしい。
雪山で遭難したSOS団員だが、奇跡的に大きな洋館風の屋敷にたどりついたというベタな設定。ほとんどバイオハザートや弟切草のパクリですな。(知ってるかなー?)
つまるところこの洋館は超常空間となっており、早い話が閉じ込められたわけ。長門の能力も通用しない空間であり……というSFテイストなつくりになっている。

今回は3作とも全部広い意味でのSFです。4巻のあと書きで書かれていましたが、谷川氏はSFとミステリが好きで、小さい頃からよく読まれていたそうです。特にSFは大好きなんだろうなーと思います。
ハルヒの世界ならSFでもミステリでも好きなように設定できるので、そういう意味では趣味を前面におしだせていいなと思います。
さーて、第6巻はなにが書かれているのかな?
10.8(水)読了
涼宮ハルヒシリーズ第4巻。
今回は時間SFものです。簡単にいえば「バック・トゥ・ザ・フューチャー」と「のび太の魔界大冒険」を足して2で割ったような感じ。わっかるかなー?

第1巻、3巻あたりの事項を絡めて物語が進行しているので、そちらを読んでいない人はチンプンカンプンでしょう。おとなしく1巻から読みましょう。

半ばから終盤にかけて「バック・トゥ・ザ・フュチャー」、最後の最後のネタが「のび太の魔界大冒険」。
完璧なパクリ、もとい、オマージュになっています。

パク・・・・・・オマージュですが、内容的には1巻と双璧をなす面白さだと思います。
時間に対する概念で少々難がある部分も見受けられましたが、そこはライトノベルということで。

それにしても、谷川氏の文章って村上春樹を意識して書いているのかな? 独特の比喩法とか、ずらーっと書く方法とか、結構似ているところが多いという印象があります。

村上春樹といえば、今年はノーベル文学賞受賞できるでしょうか?
今年はアジア枠ということで(ほんとかな?)、受賞の可能性けっこうあるのではと期待しています。

とおもったら、ノーベル物理学賞に日本人研究者3名が受賞したとの一報が。
続け、村上春樹! (オチなし)

10.6(月)読了
この本はなんというか、唯野仁という文学部英文学科の教授が大学を舞台に権力闘争の運動をおこなうというものです。
というと重い内容のように思われますが、実のところ、友人の教授昇格に紛争したり、研究員が講師に昇格したりということを面白おかしく書いているだけです。

それだけだと単なるお話なのですが、異色なのは、話の合間に学生向けに文学授業がおこなわれることです。
この授業がかなり本格的。記号論から構造主義、ポスト構造主義などおそらく本当の文学部でおこなわれているであろい内容が書かれています。よってチンプンカンプンです。わたしには。

そしてこの唯野教授、隠れて執筆活動などをしており、あろうことかその作品が芥川賞候補にノミネートまでされてしまいました。
さあ大変。大学教授が小説などを書き、何とか賞を受賞するなどということはイケナイことなのだそうです。
必死で受賞しないように祈る唯野、その祈願むなしく目出度く芥川賞受賞。本人パニック。大学での立場もヤバイことに。
さらに出張授業先の大学で女子生徒といい仲になり……!

筒井ワールド大爆発の本作品。傑作か駄作かを決めるのはあなたしだい。



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