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読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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3.29(日)読了
8編からの短編集。すべて現代もの。
物語自体に繋がりはありませんが、テーマはすべて「家族」のようです。この辺は浅田氏の複雑な幼児期体験が色濃くあらわれているような気がします。

どの作品もまずまずで、大崩しているようなものはないのですが、浅田氏はやはり現代ものより時代物のほうがあっているように思います。現代もの以外に素晴らしい作品が多い、といった方が適切かもしれません。ときおりでてくる競馬物はおもしろいけど。

それにしても、浅田氏は短編をよく書いている。
近年の作家は長編から入る人が多いのですが、昔の作家はまず短編、力をつけてから長編というのがほとんどだったようです。
浅田氏は長編も短編も偏りなく書いている。そしてそのほとんどが水準以上の出来。凄いですね。
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3.27(金)読了
8編の短編集。1960~1970年の東京を舞台に、高校生の写真屋の倅とその家族、友達を巡っての青春小説。

霞町とは現在の西麻布の旧名だそうです。西麻布といっても関西人の私にはよくわかりませんが。幼い頃は東京(というか神奈川)に住んでいたので、渋谷や新宿などにはよく行っていましたが、西麻布はどの辺だろう? イメージではフランス料理屋がたくさんあるような所なんだけど。

写真屋というのも最近ではあまり訊きなれない言葉です。戦後はGHQ関係などで大儲けできた時期もあったそうですが、現代のようにデジカメが当たり前の時代になると、フィルムを売ったり現像で稼いだりがほとんどではないでしょうか。
プロの写真家に撮影してもらうなど、七・五・三や結婚式などの格式ばった行事程度でしょう。お金もかかるし。

作品の中で、写真家の祖父や婿養子の父親も息子を写真屋にするつもりはあまりないようです。斜陽産業ということですね。
時代の変遷を感じることのできる一冊です。

3.25(水)読了
第36回オール読物推理小説新人賞受賞作。
東京池袋を舞台として、不良少年たちがワーワーする話。推理小説という印象はない。
あまりおもしろいとは思わなかった。これが新人賞を受賞? というのが正直な感想。体言止めを多用して独特の文章をつくりあげているのは評価できる。残念なのは内容。はっきりいって稚拙。ジュブナイルかと思った。

年齢層を10代から20代前半に絞ったのだろうか? 警察やヤクザを登場させてはいるが、リアリティがまったくない。内部事情を知らない人が書いたように思えて、白けてしまう。むしろ少年たちの奮闘一本で描ききったほうがよかったのではないか。

表題作の短編以外に3作品を収録しているが、飛び抜けた作品はなかった。どれも平凡で幼稚なストーリー。以前読んだ『夜を守る』という作品と内容もかぶっている。
いやぁ……ダメ出ししてるなぁ。そこまで悪い作品ではない、とフォロー。でも、この人の本をまた読みたいかと問われたら、答えはノー。もう結構。

3.23(月)読了
「やんごとなき」シリーズ。いつものように中世西洋での風俗等について書かれています。
この本を読むたびに思います、中国や西洋の君主や王様はやりたい放題だったのだなぁと。特にフランスだかイタリアだかの王族には頭の変な人が多々見受けられるが、それはワインを多飲していたせいだという説があるそうです。
当時は鉛の容器にワインや飲み物を容れて飲んでいたそうですが、その鉛がワインに溶け出して、人体に影響を与えていたのだそうです。その結果、通風その他の病気に罹り、頭が変になり、奇妙な行動をとるようになる、と。なるほどね。

「やんごとなき」シリーズは興味深く読んでいるが、何度も同じネタを使用するのが難点。カトリーヌ・ド・メディチや西太后などは毎回書かれている。こう何度も同じものを掲載していると、はっきり言って鬱陶しく感じる。
「ああ、またページ稼ぎか……」
みんなそう思うだろう。そこが一番残念。ぜひとも新ネタを入手して、よりクオリティの高い一冊を書き上げてもらいたい。
3.21(土)読了
沙高楼奇譚の続編。4編からなっています。
4人の過去を持った男女が沙高楼と名付けられたビルで告白をするというお話。1作1作が独立しているので、どこからでも読むことができます。

表題作の「草原からの使者」というのは、浅田氏の好きな競馬に関する話ですが、これが一番よかった。競馬のなりたちから血脈に至るまでそこかしこに蘊蓄がちりばめられていて、とても勉強になります。
逆にラストの「星条旗は永遠なれ」はいただけない。アメリカ退役軍人の話だけど、あまりおもしろくない。意味は解るが、なんかなぁという感じがしました。

このシリーズはおもしろいので、これ以降も何作か書いて本にしてほしい。
本当に短編を書くのが上手い作家だと思います。
3.19(木)2読目
いわゆる江原本。スピリチュアルについての各論が書かれています。
結婚・離婚、戦争、子育て、臓器移植、生死についてなど、読者が興味を持っていそうな事柄はほぼ網羅されているといっていいでしょう。ごく最近のホットな話題(といっても2006年度)を例にだしているので、より具体的でわかりやすいつくりになっています。列幅も広いため読みやすい(内容が少ないともいえる)。

小泉総理やポスト小泉候補者のオーラにも言及しています。それによると、4人(安倍、福田、谷垣、麻生)のなかでは、安倍元総理が最もオーラに穢れがないそうです。なるほど、まだピュアな部分が残っていそう。紫のオーラ(情愛)が強いので、政治家には向いていないもよう。福田氏は前世が防人なので外務大臣や防衛大臣が適任。麻生総理は赤と青(冷静と情熱)のオーラを兼ね備えているが、緑(無垢)のオーラもあるため、若干おこさま。谷垣氏は赤と銀が強く、小泉総理を似ているオーラだそうです。公約したことは何が何でもやり遂げるタイプ、だそうです。

個人的に谷垣氏は好きです。地味だけれども知的で誠実そうな印象があって、日本のためにがんばってくれるような気がします。、いつか総理大臣をやってもらいたいなと思っています。
3.18(水)読了
漫画家たなかみる氏がリストカットや摂食障害経験者に取材をし、その症例をポップなマンガで描いています。
たなかみる氏自身もリストカットと摂食障害の経験があって、何度も入退院を繰り返しているそうなので、なかなか生々しいマンガとなっています。

彼女の指摘でなるほどと思ったのは、リストカットは伝染するということです。たとえば、リストカット以外の症状で精神科に入院した患者にリストカットを教えると、割と簡単に実行してしまい、癖になってやめられない事態になることもあるそうです。
そして、インターネットの普及もリストカットの増加に寄与しているのだそうです。良い情報も悪い情報もいっさいがっさい得られるのがネットなので、リストカットという悪い情報の伝達を止めるのは難しいでしょう。「リスカ」という略称も悪い。レスカ(レモンスカッシュ)のようで、オシャレな雰囲気が漂う。正式名称の「手首自傷症候群」を使用すると、不気味な感じがして、自傷を始める率が減るかもしれない。手首切りですよ手首切り。断手。

カッティングシーンなども描かれているので、過去にリストカット等の経験がある人は読まないほうがいいかもしれない。「読んでたらムズムズしてきて、また切っちゃったよ~」ってなりかねないから。ご注意ください。
3.17(火)読了
7編からなる短編小説。浅田次郎としては珍しく、全編恋愛物です。
純粋な恋愛小説というよりも、男女の複雑な関係を描いているのが特徴です。特に最後の「ピエタ」は、浅田次郎の人生そのものがモチーフとなっているようです。

非常にオーソドックスに書かれていて、良いも悪いも浅田次郎色は消えています。
決して悪い作品ではないので、彼の本は時代ものが多いため、かなりギャップが大きい。時代小説を書いて、ピカレスク(悪漢小説)を書いて、恋愛小説を書いて。非常に守備範囲の広い作家です。

表題の「月のしずく」意外は、すべて女性視点というのもおもしろい。
男女二視点で書かれている短編もありますが、それも主人公は女性。男性視点の恋愛小説というのは盛り上がりに欠けるからかもしれません。恋愛小説はやはり女性がいい。
3.16(月)読了
旅行に関するエッセイ集。
台湾、中国、韓国、アメリカ、中南米、欧州など、さまざまな場所で体験したことを一冊のエッセイにまとめています。浅田氏は年間60日は外国へ行き、60日は日本のあちこちを飛び回っているようです。税制関係で移り住んでいる訳ではありません。在住はずっと日本の東京。講演や執筆旅行といったものが多いようです。

食べ物に関する記述が多い。やはり旅行の醍醐味は食事ということか。
最高に不味かった外国の料理、という記述がありました。某国(アメリカ?)某所で食べさせられたステーキ。600グラムもあろうかという豚肉をレアで(!)焼いて、ソース代わりにジャム(!)をかけて食べる。吐き出すほど不味かったそうです。

昔、アメリカにいったことがありますが、そこで初めて食べたステーキがそんな感じだった。ジャムこそのっていなかったが、分厚いレアステーキで、ソースもほとんど味がない(量が少ない)。ステーキそのものは500グラムはあるが、不味いものがボンと置かれているだけで、まず食べ物を残さない私も、ついにギブアップして半分以上を残してしまいました。だって、不味いんだもん。

私事をもうひとつ。その旅行の帰りの飛行機の中で食べたサンドイッチも不味かった。どう表現したらいいのかわからないが、とにかく不味いのである。豚の餌と表現してもいいし、残飯といってもいい。腐っていたのだろうか。
お腹は減っていたがとても食べることはできないので、ナプキンに包んで日本に持って帰りました。そのままゴミ箱へ捨てました。なむなむ。
3.15(日)読了
推理小説であり青春小説。直木賞候補作。
ある男にレイプされて、その結果生まれてきた春。家族はそのことをあまり語らずにいる。
家の近くで不振な放火が続く。奇妙なことに、放火の近くにはグラッフィティアートがペイントされている。そしてそのグラフィティアートを連続して読むと、ある単語が浮かび上がってくる。

伊坂幸太郎氏はとても人気のある作家ですが、いままでこの人の作品を読んだことはありませんでした。
数行読んでまず感じたのは、「村上春樹だ」。
村上春樹の作風と酷似しています。事象や感情を変わった比喩を使って繰り返したり、さらりと文章を書いたり。好き嫌いがわかれる文体だと思います。私は嫌いではないが、好きでもない。

内容は、レイプ犯によって生まれてきた少年の、自分の出自に対する葛藤とその昇華、というところでしょうか。暗くならないように、サラリと書かれています。
タイトルの「重力ピエロ」もセンスがあっていい。まさにこれが主題といってもいいと思います。

伊坂氏の作品に『オーデュボンの祈り』というものがあるそうです、衝撃的な本とのことです。今度読んでみたいと思います。


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