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読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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4.24(木)読了
鳥の鳴き声をメインにした絵本。
見開き1ページで1羽の鳥が出てきて、個性的な鳴き声を披露してくれます。
シジュウカラは「ツツピー、ツツピー」、ウソは「ヒーホー、ヒーホー」、メジロは「チーチル、チーチール、チチルチル」、カワラヒワは「キリリ、コロロ、キリリ、コロロ」、コノハズクは「ブッポーソー、ブッポーソー」

鳥の音色といっても、それぞれに個性があるのですね。
聴き手によって音が異なって表現されるというのも面白いです。
どのように文章化するかが、書き手の技量の見せどころなのでしょう。

国民性や既成概念によって、擬音語はかなり限定されているように思います。
日本では犬の鳴き声は「ワンワン」ですが、アメリカでは「バウバウ」です。
「ガチャン」とコップが割れたという表現と、「パリン」と割れたでは受け取り方が違います。

電話の音なども単に「ジリリリン、ジリリリン」(黒電話です)では面白くありませんね。
良い擬音語が思いつかないときは、素直に文章にします。
「昔ながらの電話の音がした」「黒電話の神経にさわる濁音が鳴り響く」「目覚ましのように電話が鳴った」
こんな感じでわかるのではないでしょうか。

「ファンファーレのように黒電話が鳴り響いた」
この表現、好きです。

だいたい、小説で「電話がジリリリンと鳴った」とか、
『「ジリリリン、ジリリリン」電話だ。響子はコンロの火を止め、受話器を取りにいった。』
こんな文章があったら、それだけで興ざめです。

『「ぱーん!」銃声が響いた。』『「にゃおん」タマはお腹がすいたようだ』
実際に小説でこんな文章がありました。ぱたん(←月並みな表現)と本を閉じたくなります。

擬声語、擬音語が上手い人は筒井康隆氏でしょう。
「イヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」この笑い声が怖い。梅図かずおの漫画みたいです。
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4.23(水)読了
戦後日本の価値観と進むべき道を書いた本。
シャンソン歌手で女優であり、最近では「オーラの泉」でも有名な美輪明宏さんが、戦争と平和について語っています。
美輪さんは戦前の生まれで、広島では原爆を被爆もされたそうです。幸いなことに家内におられて、怪我などはされなかったそうです。

軍国主義、封建主義のことを美輪さんは批判されていますが、それ以外は戦前の日本には素晴らしい文化があったと語られています。
そして、敗戦時にアメリカから押し付けられた日本国憲法、特に戦争の放棄については、素晴らしいことだと書かれています。

アメリカ自身が作成した憲法なので、それに反して日本を戦争に加担させることは難しいので、アメリカは日本の憲法改正を望んでいるそうです。

なぜアメリカは戦争をしたいか? その要因の1つは軍需産業です。
ブッシュ親子はカーライル・グループという軍需コンツェルンの重役で、会長は元CIA副長官のカールーチです。そのために、ブッシュ親子は戦争を望んでいるということです。

そして、アメリカは軍需産業で生活をしている人々がたくさんいます。
戦争がなければ、それらの人々は失業してしまいます。戦争は大義名分の下で行われますが、その大儀が実際の戦争目的であることは、決してありません。戦争は経済的理由でおこなわれます。

付随して忠臣蔵の朝匠の守のことも書かれていますが、彼は経営者としては最悪の人間だそうです。だって、上からの嫌がらせに腹を立てて、殿中で殺害してしまい、死刑になって、そのあおりで会社が倒産して社員を路頭に迷わせたわけですから。
忠臣蔵については、私もずっと同じことを考えていました。
もっとも、その時代と今の時代を同じ価値観で計るわけにはいきませんが……。

この本には平和と愛についてがたくさん書かれています。
読みやすくて、しかも、本当に心に入ってきます。お勧めです。

4.22(火)読了
子供たちの残酷さをえがいた心理小説。

<あらすじ>
白い雪の玉で傷つけられたポール少年。家で療養をしているが、母親は病で急死してしまう。
親譲りの財産で、姉エリザベス、家政婦と共に1つの家で暮らす。
やがて、ポールを慕う少年ジェラール、エリザベスの職場のマネキン友達のアガートも一緒に住むようになる。
姉と弟は仲が悪く、それぞれにちょっかいを出し、相手の癇に障るような行動をとり楽しんでいる。そのうち、ポールはアガートを好きになり、ラブレターを出すが(同じ家に住んでいるにもかかわらず)、宛名に自分の名前を書いており、アガートには届かない。アガートも実はポールのことを好きになっており、それをエリザベスに泣きながら訴える。
手紙は居間の机に置かれたままであることを、エリザベスは気付く。それを裁断して捨て、ポールにはアガートはジャラールのことが好きと、アガートには、貴女にはジャラールの方が似合うと話し、恋愛を諦めさせる。
結局、アガートはジェラールと結婚して、別のアパルトマンに引っ越すことにする。
ポールは再び病状が悪化する。そんなとき、昔の友人、ポールに白い雪の玉をぶつけて傷つけた友人、が趣味の毒薬をポールに送る。そして、ポールは失恋に耐え切れなくなり、黒い丸薬を飲んで苦しむ。息も絶え絶えに、アガートに、自分を振ったことを語る。しかし、アガートもその事実は知らない。そこで2人とも、エリザベスの策略であることに気付く。
エリザベスは追及の場で、反射的に拳銃を取り出し、自分のこめかみに当てる。ポールが最後の痙攣を起こし、がっくりとなった瞬間にエリザベスも拳銃を放ち、自殺をする。

陰険な姉弟の結末は死でした。
白い雪玉で傷つき、黒い丸薬を飲んで死ぬポール。黒い弾薬をこめかみに打ち、死んでいくエリザベス。白と黒の玉で死ぬというのは何かを象徴しているのでしょうか。
精神的に成熟できない人間の様子がえがかれています。

それにしても、意地の悪い兄弟です。
ねちねちと陰険に、お互いの弱いところを攻めて、相手を心理的に困らせます。
相手に直接、打撃を与えることはしないのですが、外堀から埋めていくといった感じです。

これに近いのはE・ブロンテの『嵐が丘』。
雰囲気や人物が非常に似通っています。
あの話は主人公の復讐劇と恋愛劇ですが、この本にもその要素があります。
ドロッと濁った液体で、濾過しないと飲めない水溶液です。

ちなみにこの本は、コクトーが阿片中毒の治療中に17日で書き上げた本だそうです。
阿片により濁った感情がそのまま本に現れている、と言うといいすぎでしょうか。
4.21(月)読了
金田は東京で広告会社に就職したあと、自己の画を描くために、犬吠岬に1人で旅行に出る。そこで金田に惚れて追ってきた今日子と出会う。しかし、金田は自己の画を描くため、今日子を振り切り北海道へ行き、帰宅後に船頭の画を作成し、画展に出品する。育ての画家に弟子入りした山田に触発されての行動だ。この画は見事に入選を果たす。
70歳になる育ての画家は、失明し、その数日後に画を描きながら死去。内縁の妻は、その遺産で小料理屋を開店させる。今日子は金田の子を妊娠したと嘘をつき、金田の心をためす。金田は今日子を嫌い、別れを切り出す。
幼馴染で金田のことが好きなゲイの銀子は、大阪の店から引き抜きがあり、金田への心を東京に置いて大阪に旅立つ。それぞれの再出発が始まる。

倒錯した家族は、それぞれの道を見つけて再出発していきます。
もっとも、1つ屋根の下で暮らす人たちには血の繋がりはありません。
しかし、本当の家族以上に温かい関係を築いています。

最終的に1人1人が道をみつけて旅立ちますが、今日子だけは金田への心を抱いたまま、中途半端に終わっています。
どうせなら、みんながハッピーエンドの形にしてほしかったかな。

登場人物はみんな直情な性格です。強いですね。
強さというのは傷つくことでもあるのかもしれない。しかし、それがなければ生きていくのは難しい。
傷つくことを恐れるな、ということですね。
4.19(土)読了
村上龍のエッセイ。
日本の現状、そして将来がどのように進んでいくかを書いています。
1997年に執筆されているので、当時、話題になった14歳の少年、「酒鬼薔薇聖斗」についても述べられています。そして女子中高生による売春(援助交際とデフォルメせずに売春)についても言及されています。

少年の凶悪事件や売春について、村上氏は「寂しいから行っている」と述べています。
たしかにそういう部分はあると思います。

戦後日本は民主化され、欧米に追い付き追い越せの合言葉をもとに頑張ってきました。
その結果、現在の日本は豊かになり、近代化も完了しました。そして目標を喪失した。

一昔前は、良い大学、良い企業に就職することが絶対的な善とされ、親世代はそれのために頑張れと言ってきました。しかし、現在の日本では、その善なるレールは崩壊しました。そのことは子供でも判ることです。
それなのに、古い頭の人々は、昔の考えを改めようとせずに「良い~」を押しつけます。
まぁ、良いって何が良いのか判らないですけど。

理想と現実、本音と建前、日本という国の目的喪失感が子供に伝播し、無力感や孤独感から売春や犯罪に向かうというわけです。なるほど。

それにしても、近代化を完成させた後って、いったい何を目標として進めば良いのでしょうか?
国の理念というのは、つまるところ物質的繁栄を享受することだと思います。それが国家の存在意義といってもいい。

ある程度、物質的繁栄が満たされたら、その後の国は何をすればいいのでしょう?
極小政府だけを置いて、あとは好きにしてくださいということでしょうか?
国が目標を見いだせなければ、国民が目標を持つのは難しいと思います。少なくとも、そういう人が多いと思います。
4.18(金)読了
関東平野㊥巻。
中学生になった金田だが、祖父が他界。縁のある春画の絵描きの元へ預けられる。その後、幼馴染のゲイの少年も東京の金田の所へやってきて、ゲイ・バーで働き始める(中学生)。絵描きは元子爵令嬢と一緒に暮らし、金田は妊娠疑惑で呆然となる。

戦後のどさくさとはいえ、かなりはちゃめちゃなストーリーです。
しかし、登場人物全員が必死になって頑張っている姿は魅力的です。
戦後の流れをそのままストーリー仕立てにしているので、その時代の雰囲気が味わえて面白いです。

赤線、青線、この単語を知っている人も知らない人もいるでしょうが、これぞ戦後という感じです。
その理屈なら、煙草もマリファナも国が管理して、赤線のような区域で使用できるようにすれば良いと思うのですが……。実際にそういう話もあるようです。ヤクザの資金源を叩くことにもなるし。

ちなみに、煙草よりマリファナの方が健康に良いです。依存性もありません。
煙草を廃止してマリファナを解禁したらどうでしょうか? もちろん国の管理で。おそらく国民が大反発するから無理でしょう。内閣解散、与野党逆転は固いところです。
まぁ、無理に解禁することもないですけどね。

4.18(金)読了
左目を失ったピーコの人生記。
おすぎとピーコで有名なピーコ氏は、1989年に左目の奥にメラノーマ(癌)が見つかり、摘出手術を受けます。それ以来、左目は義眼を入れて生活されているそうです。

左目を失うまえのピーコ氏は、服や宝石など華美な物がとても好きで、執着していたそうです。しかし、癌の手術前にそれらを友達にあげてしまったそうです。
手術が失敗して死ぬなどの可能性は(おそらく)なかったと思いますが、病気になったことをきっかけに執着がなくなってしまったのだそうです。

ピーコ氏は本の中で、それまでの人生で出会った人々についても書かれています。
幼い頃から経済的には恵まれない家庭だったそうですが、素晴らしい家族、特に母親に愛情をたっぷり注がれて成長したそうです。明るい性格だった双子の兄弟は、縁があって芸能界入りしますが、それもやはりご本人の努力と、母親の躾、愛情があったからではないかと思います。

ピーコ氏は目が見えなくなって得たものがたくさんあったと語っています。
自分本位の生き方で、感謝しない考え方、欲望から解放されたそうです。素晴らしいですね。
ピーコ氏は癌が転移していないか、半年に1回は検査にいかれているそうです。医者には5年もつかどうかといわれていたそうです。

これからも身体に気をつけて、ご活躍されることを祈ります。
4.17(木)読了
アメリカの絵本作家、ゴフスタインの絵本。
画家の一生を絵本として描いています。世界は神に創造された芸術ですが、画家も神のようなものです。なぜなら、神が彼(画家)を創ったからです。
画家は神の創造をまねして、自分の手で美をかたちづくろうとします。自然の外に秩序をつくり、心の中の考えや気持ちを描こうとします。限られた日々をつつましく、そして力強く生き、画家は絵の具を歌わせようとします。

ゴフスタインの絵本は、神や自然、創造などのスケールの大きな事柄を取り扱っているものが多く、そこには作者の意思が感じられます。
自身が絵本作家ということもあり、画家を自分に仮託しているのでしょうか。

とてもシンプルな物語ですが、心に響くなにかがあります。
ただ黙々と1つのことをやり続ける人に憧れます。ゴフスタインもそう思っていたのではないかと、本を読みながら思ってしまいました。

4.16(水)読了
作家のあさのあつこと天文学者の福江純による、近未来に対する対談。

未来の地球はどうなるのかといった真面目な話から、人類は宇宙で住めるのか、宇宙人は存在するのか、タイムトリップはできるのかなど、興味深い話がたくさん語られています。

最近、20光年先に地球によく似た惑星が発見されたそうですが、その惑星は水の存在する可能性があり、生命の存在する条件がととのっているそうです。
重力は2G。地球の2倍の重さです。必然的に、生物はどっしりとした足腰をしていて、短足になります。
もちろん4本足で歩く。進化のためには両手で道具を使用しなければならないので、手足は6本になる。ムカデのような生物が進化するわけだ。なんか怖い。

その他、科学的な観点から、わかりやすく近未来の可能性を解説してくれています。
知的好奇心がくすぐられます。こういう本は大好きです。

4.15(火)読了
 巨神兵の復活~シュワの墓所の崩壊まで
ナウシカはシュワの墓所を閉めに、巨神兵(オーマ)と共に西へと飛ぶ。
途中、生まれて間もないオーマは、雪の降る山中で力尽きてしまうが、気力を搾り再び飛び立つ。
ユパはトルメキアを憎む土鬼族により、殺されてしまう。
道程でクシャナの兄2人と出会い、ヴ王軍と共にシュワを目指す。死んだテトの躯を埋めるために降りた廃墟は、胞子にやられていない正常な空気の地だった。そこは旧世界に人間が、菌に冒される前の動植物そして空気を押し込んでいる場所だった。
ナウシカは知る、毒を吐く胞子は、旧世界で毒に冒された土地を正常にするために、旧世界の人間が作り出した清浄装置だということを。腐海は人間が作り出したのだ。そして、ナウシカを含めて今の人間は、まったくの清浄な空気では肺から血を吹き出して死んでしまうということを知る。人間も意志の力で自分を変化させたのだ。植物がすべての毒を吸い取り、旧世界の状態に空気が戻ると、現在の人間は死んでしまうのだ。
この世界に仕組まれた秘密がシュワの墓所にあるという。ナウシカたちは墓所へと向かう。
墓所は旧世界の英知により、堅く閉ざされていた。オーマの放った超ビームにより、墓所に亀裂が入る。ヴ王は墓から出てきた、秘法で1000年は生きている人物たちの導きにより、墓内へ入る。
ナウシカたちも墓へ侵入する。墓内部は古代の秘法を示した古代文字であふれている。旧世界の科学だ。
旧世界は今の毒に満ちた世界を取替え、生物も空気も旧世界のものにとりかえようと計画していた。そのために現世界の者を欺いている。新世界到来時には奴隷が必要だからだ。
墓は一種の生命となっている。墓はナウシカとオーマにより、崩壊する。
ヴ王はナウシカを守って死ぬ。死の間際、ヴ王はクシャナに次の王となるように言う。だが、クシャナは王とはならず代王となり、トルメキア中興の祖となる。のちにトルメキアは王政ではなくなる。
ナウシカは土鬼の地にとどまり、土鬼の人々と暮らすようになる。
のちに、風の谷に戻ったとか、森の人の元へ去ったとか言われている。(おわり)

非常に長い物語でした。正直、読むのにけっこう疲れました。
毒を吐く植物は、実は旧世界の大戦した大地を清浄なものに戻すために、旧世界の人間が人工的に創り出した空気清浄機のようなものです。遺伝子操作ですね。
植物は大地の毒を吸い、ほんの少しだけ毒を吐き出します。いつかは毒がなくなるというわけです。

腐海は意図的に作られたのです。その事実がなぜ公表されていないのか、ということは疑問です。旧世界の一部の人々の秘密なのでしょうか?

科学的に肉体を数千年保ち、清浄な地に戻ったところで再び地球を統治する。そのときに、旧世界の汚染されていない動植物を世界に放ち、旧世界の人々は胞子(毒)のまったくない世界では住めないから、死滅している、と。なるほどね。

墓所は復活のための一大装置というわけです。エジプトのピラミッドのようなものです。
しかし結局は、その企ては失敗に終わってしまいました。でも、いつかは毒はなくなり、清浄な地が戻ってきます。
そのときには人間や動植物も、その環境に適応して生き延びることと思います。
わずか1000年やそこらで進化するのは難しいので、突然変異に頼るしかないかもしれませんが……。

なんにせよ、なかなか面白い物語でした。
映画をみた人は、その後でマンガ版を読むといいかもしれません。
映画ではわからなかった謎が解き明かされます。


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