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読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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4.22(火)読了
子供たちの残酷さをえがいた心理小説。

<あらすじ>
白い雪の玉で傷つけられたポール少年。家で療養をしているが、母親は病で急死してしまう。
親譲りの財産で、姉エリザベス、家政婦と共に1つの家で暮らす。
やがて、ポールを慕う少年ジェラール、エリザベスの職場のマネキン友達のアガートも一緒に住むようになる。
姉と弟は仲が悪く、それぞれにちょっかいを出し、相手の癇に障るような行動をとり楽しんでいる。そのうち、ポールはアガートを好きになり、ラブレターを出すが(同じ家に住んでいるにもかかわらず)、宛名に自分の名前を書いており、アガートには届かない。アガートも実はポールのことを好きになっており、それをエリザベスに泣きながら訴える。
手紙は居間の机に置かれたままであることを、エリザベスは気付く。それを裁断して捨て、ポールにはアガートはジャラールのことが好きと、アガートには、貴女にはジャラールの方が似合うと話し、恋愛を諦めさせる。
結局、アガートはジェラールと結婚して、別のアパルトマンに引っ越すことにする。
ポールは再び病状が悪化する。そんなとき、昔の友人、ポールに白い雪の玉をぶつけて傷つけた友人、が趣味の毒薬をポールに送る。そして、ポールは失恋に耐え切れなくなり、黒い丸薬を飲んで苦しむ。息も絶え絶えに、アガートに、自分を振ったことを語る。しかし、アガートもその事実は知らない。そこで2人とも、エリザベスの策略であることに気付く。
エリザベスは追及の場で、反射的に拳銃を取り出し、自分のこめかみに当てる。ポールが最後の痙攣を起こし、がっくりとなった瞬間にエリザベスも拳銃を放ち、自殺をする。

陰険な姉弟の結末は死でした。
白い雪玉で傷つき、黒い丸薬を飲んで死ぬポール。黒い弾薬をこめかみに打ち、死んでいくエリザベス。白と黒の玉で死ぬというのは何かを象徴しているのでしょうか。
精神的に成熟できない人間の様子がえがかれています。

それにしても、意地の悪い兄弟です。
ねちねちと陰険に、お互いの弱いところを攻めて、相手を心理的に困らせます。
相手に直接、打撃を与えることはしないのですが、外堀から埋めていくといった感じです。

これに近いのはE・ブロンテの『嵐が丘』。
雰囲気や人物が非常に似通っています。
あの話は主人公の復讐劇と恋愛劇ですが、この本にもその要素があります。
ドロッと濁った液体で、濾過しないと飲めない水溶液です。

ちなみにこの本は、コクトーが阿片中毒の治療中に17日で書き上げた本だそうです。
阿片により濁った感情がそのまま本に現れている、と言うといいすぎでしょうか。
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