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読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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2.10(火)読了
短編小説6編収録。どれも明治維新前後の話。
浅田氏の時代小説の短編は(長編も)、明治維新前後の武士の身の処し方についてのものがほとんどです。どうやら自身の祖父に昔語りに聞かされた話が影響しているのだと思います。今作品のいくつかも、祖父から聞いた話を寄せ集めて一つの物語をでっち上げた、と出典を明らかにしています。

表題作の「お腹召しませ」は、女と駆け落ちした養子息子の罪を義父が切腹して償うという話ですが、その家族が冷たい。妻と18歳の娘は盛んに「お腹召しませ、お腹召しませ」と言い、上役も「お腹召しませ」と、判で押したように申し渡す。介錯を頼む友からは、「自殺の手伝いなんてやだよ」と冷たくあしらわれる。武士として切腹するのはやぶさかではないが、このような扱いに主人公はほとほと嫌気がさし、切腹をとりやめる。
武士のたしなみとしての切腹と家族・友人の邪険な扱いがコミカルに対比されており、落語を読んでいるようでとても楽しかった。

物語の冒頭に浅田氏の短いエッセイ風の文章が入っているが、好きになれない内容のものがいくつかある。若い時分にフーテン狩りをしていた、などというのは、挿話として出すのはどうかと思う。不快な気分になる。本編と関係ないところで浅田氏の点数を下げており、そこだけが残念だ。
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