読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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5.9(土)読了
1970年代の京都を舞台とした青春奇談小説。 京都大学の主人公とその友達、2年年上の女の先輩、そして遥か昔に死んだ、とても美しい不遇の女優が物語を作っていきます。今回も主人公の友達が複雑な家庭環境という、浅田氏得意の設定となっています。お馴染みのパターンはすでに水戸黄門の域に達しています。 なかなか良い出来の作品だと思います。 ストーリー的にはどこかで聞いたようなものですが、雰囲気がとてもいい。最初は完全な青春小説と思ってみていると、途中から牡丹灯篭を思わせるような展開になっていきます。やめてよと思ったけど、これはこれで成立しているから見事。 タイトルの「活動瀉眞の女」の女は、半世紀も前に悔いを残して死んだ女優の亡霊のことだったのですね。最後は目出度く男ひとりを道連れに成仏していきました。魅入られた京大生の友人は不幸というべきでしょうか。死んで幸福という考え方もありますが……。 PR
5.6(水)読了
第15回電撃小説大賞<銀賞>受賞作。 女だてらに東京で闇金融をする万城小夜。その利子は破格のトレイチ(10日で0.1パーセント)。みんな狐につままれたように借りていくが、最後には<ヴァンパイア>の名前が示すとおりに、客を自分の金融のフランチャイズに仕立て上げてしまう。 最後にはヴァンパイアの名のごとく、白木の柩に入ってしまう。皆泣くが、それはヴァンパイアの親だった……。 真藤氏は日本ホラー小説大賞やダ・ヴィンチ小説賞などで受賞しており、これで1年で4冠達成という快挙です。 本作品はレーベルがライトノベルですが、読んでみるとあまりライトノベルらしくはありません。やけに現実的というか、ぶっとんだ内容ではないためかもしれません。 面白いか否かでいうと、まぁ普通です。可もなく不可もなく。なぜ受賞したかを考えたところ、それまでに3冠を達成したという知名度が大きかったのではと思います。うがった見方ですが。 仕事を辞めて作家活動に専念しているそうですが、以後の作品はそろそろ刊行されるでしょうか? 次回作を期待します。
5.3(日)読了
題名通り、村上春樹と河合隼雄の対談。1995年の実現した対談で、村上氏が「ねじまき鳥クロニクル」3部作を書き終えた直後のもの。 河合隼雄がよしもとばななと対談した本を読んで、この本を知りました。読んでみてなぜか、村上春樹らしいと思いました。世の中に対するとらえ方が情緒的というか、堅苦しくシステムに嵌っていなくて、その感覚はそのまま小説に生かさせているように感じました。 日常的なことはあまり書いていなくて、主に心理関係や小説のことについて書かれています、というか喋っておられます。村上氏は3年半におよぶアメリカ生活から帰ってきた直後で、日米の違いについて話していたのが印象に残っています。アメリカは個人主義であるが、日本は個性を大切にというが、とうてい個人主義にはなりえない、ということなど。この辺は両方の文化を体験した人にしか分からないのでしょうね。 村上氏の真摯な人柄がよく現れています。興味深く読みました。
5.2(土)読了
第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞作。 江戸時代の頃の話。廻船問屋の倅に生まれた主人公は大甘の親に育てられるが、病弱でいつも熱を出して寝込んでいる。何より不思議なことは、妖(あやかし)の者を普通に見ることができることだ。 手代の2人は妖の者で、幼い頃から主人公の一太郎を陰日なたと守っている。 ある日、一太郎は1人で外を出歩いていたら、人殺しに出会う。薬種商人が殺され、一太郎も殺されそうになったが、なんとか逃げ切ることができた。この殺人者はある薬を追い求めていることが分かった。その薬とは甦りの薬で、死者を甦らせることができるという代物だ。そして甦らせたいものは、あと少しで妖になることができたという、石墨の思念だった。 題名のしゃばけとは娑婆気のこと。俗世間の名誉・利得などの欲望に捕らわれることの意味だそうです。物の怪になり損ねた石墨は甦りの薬で物の怪になろうとしたけれども、結局は一太郎たちに退治されてしまいます。 この本は友達が読みたがっていたところ、たまたま図書館で見かけたので借りて読んだのですが、あまり面白くありませんでした。せいぜいが「よくできた話」という程度で、20ページくらい読んだところで眠くなってしまった。眠気を我慢して最後まで読みましたが、最後まで面白くなかった。 よくこれで優秀賞を受賞できたなというか。好みの問題でしょうかね。
4.30(木)読了
動物や昆虫などの不思議な生態をやさしく解説した本。 知らなかった事実がたくさん書かれていて(大半がそう)、へえと思います。 ペンギンのうんちは放射状に落とされることやバッタの色、ヒツジの白色なども、ひとつひとつ理由があります。動物や昆虫は本能としてその行動をとっています。その結果、生き延びることができているのですね。 雑学本の一種ですが、何かの折に披露したらちょっと自慢できるかも、というようなことがたくさん書かれていて勉強になります。 是非、人間版の本も一冊書いて欲しいですね。なぜ人間はこんなにも不合理な行動を取るのだろうか! を解き明かしてほしい。もっとも、それは精神分野の研究者に委ねられるのでしょうが。 叔父が遊びに来ているので、本を読むスピードが遅れています。この本にも3日かかってしまった。
4.28(火)読了
高校生の頃に1回読んで感動した本。 主人公のつぐみは病弱ですぐに熱を出しては寝込んでいる。しかしその性格は超活発。その両方のギャップが良い感じで、キャラをとても引き立たせています。 とても意地悪で負けん気の強いつぐみ。彼女は恋をします。淡い恋だけれども、どうやらこの恋は成就しそうな予感があります。結論は書かれていませんが。 最後はつぐみからまりあへの手紙です。ここのところは村上春樹を思い出させます。 つぐみは身体を悪くして入院し、病院から遺書のような手紙を書きますが、これがまたつぐみらしい手紙。わたしは現状が好きだ! という手紙です。とても好感がもてます。 あとがきで書かれていますが、つぐみは吉本ばなな本人だそうです。さすがにここまで意地が悪くないのでしょうが、そういう要素がばなな氏にあるということでしょう。 久しぶりに読みましたが、良作です。ただし、高校生の頃に読んだほどではありませんでした。年月というものですかね。
4.24(金)読了
現代物の短編6編。 会話だけで1編を構成したり、手紙だけの編もあっておもしろい。 相変わらず両親に離婚された子供の話も2編あった。浅田氏の短編にはこのモチーフが多い。 「佳人」というタイトルで14ページの作品が掲載されている。ほとんどショートショートだが、結末におもわず笑ってしまった。こういうユーモアは好きだ。 タイトルの「薔薇盗人」は少年から外国船籍の父親への手紙で構成されているが、これもなかなか良作。不倫の男女関係が薔薇の花に仮託されていて趣もある。しかし、父親もこんな手紙を受け取ったらたまらないだろうな、と読んでいて不憫に思った。外国船の中で、妻が不倫をしているらしいと思わせるような手紙を貰ってもねぇ。 今回は粒揃いの作品が多くて満足。やはり現代物も上手い。
4.22(水)読了
対談集。心理学者と作家の対談であり、35歳ほど年齢の離れた2人の対談ということでとても興味深く読めた。 話題は広く精神分野から心理学、小説、何気ない日々のことなど多岐に渡っています。おふたりともフルートを習っているという意外な共通点もあり、読んでいて共時性のようなものを感じた。対話もとても弾んで、良い感じである。 河合氏は心理療法をしていて、患者さんがばななさんの『TUGUMI』や『キッチン』を話題に出すことが多いそうで、それで興味を持ってばななさんに対談を申し込んだのだそうだ。私も高校生の頃に読んだが、どちらも良い作品だった。特に『TUGUMI』はばななさんの最高傑作なんじゃないかと、密かに思っている。なにしろそれを読んで、ばななさんの本が好きになったくらいだから。 河合隼雄氏の本も何冊か読んだことがあるが、なかなか難しいことが書かれていた。影がどうとかアーキタイプがどうとか、読んでいるうちに頭痛がしてきて途中でやめた記憶がある。ちなみに河合氏はユング研究所で学ばれた偉大な心理学者である。いつかまた読むのに挑戦してみようと思う。
4.20(月)読了
ユーモアエッセイ。題名通り、日々のことをすれすれの話題で書いていたりする。 乾癬にかかった話題やエイズなどについて書くのはいいが、昔は飲酒運転について罰則規定がなく、皆当たり前にやっていたという記述についてはたまげた。そうだったのか。 現在では飲酒運転はきつく罰せられています。個人的にも飲酒運転は、殺人罪・殺人未遂罪(未必の故意というやつ)くらいにきつくしてもいいと思っています。それが……あなおそろしや、昭和40年。 そういえば、昔は原付もノーヘルOKだったらしいですね。事故が多発したからヘルメット着用義務ができたとか。2人乗りも合法だったっけ? よく知らない。 そう考えると、交通法規っていうのはだんだん厳しくなる方向に進んでいるようだ。高性能の電動自転車が原付扱いで捕まったりもしている。法律の世界では昔から類推適用というのが使われているけど(電車と汽車の類似性とかね)、確かに電気で動いている原付って感じだもんね。でも、電動自転車に乗ってヘルメットと免許証着用なんて煩わしい。 いま思いついたけど、時速30キロで走り回る電動車いすも類推適用で何とかしてほしい。あれだって電動だ。自転車より速く歩道を進行されたら、危なくてしかたがない。このまえ友人が轢かれかけたそうだ。
4.17(金)読了
第41回文藝賞受賞作。 高校2年生の3学期、時期はずれの転校生がやってくる。とんでもなく太っており、ワカメ髪のぶ男。名前の小谷信太から「野ブタ」と渾名される。当然、気味悪がられて友達はできない。 俺は楽しい遊びをすることにした。野ブタを高校の人気者にプロデュースするのだ。さまざまな作戦を実行して笑いをとり、感心させ、ついに野ブタは学年の人気者になる。俺は大満足。 ささいな行き違いから、俺は友達と仲違いをする。友達を見捨てたという噂は皆にばらまかれ、人気者の俺は学校で孤立をする。彼女や野ブタにも本心でない暴言を吐き、ついに俺はすべてを失う。そこで俺がとった行動は……。 衝撃的なラストでした。やられた、といった感じ。 最初見たときは、文章も内容も幼稚なのでたいしたことない作品と思いましたが、読み進めて行くうちにハマりました。本を読みながら笑ったのは久しぶり。面白かった。 本作品はドラマ化もされているので、知っている人も多いと思います。ドラマは見たことがないので、機会があったら見てみようと思います。 |
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