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読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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3.8(日)読了
人間とバケネズミとの戦い。バケネズミは人間の子供を洗脳し、その子の呪力を使用して人間たちを襲わせる。その子は、八丁標の外に逃亡した守と真里麻の産んだ子だった。守と真里麻は子を産んだ後、子どもを奪われ、バケネズミに殺されたのだ。
最終的には子供は殺され、バケネズミ側の氾濫は失敗に終わる。禁断であったバケネズミのDNAを、覚が調べたところ、新事実が明らかになった。バケネズミの染色体は、人間と同じ23対。かつて、呪力をもたない人間を迫害し、追い詰めていった歴史があった。呪力をもつ人間たちは、お互いに呪力をもって殺し合いをおこなうことを避けるために、自身の内に攻撃抑制のDNAを植え付ける。これは、殺意をもって人間を攻撃した場合、呪力によってホルモンが異常作動を起こして死に至るというものだ。だが、問題があった。呪力をもたない人間たちに攻撃抑制を作動させることはできないため、その者たちは、別のモノに変化させられた。ハダカデバネズミのDNAと融合させて、バケネズミにされたのだ。

なんとなく『猿の惑星』を思わせるようなラストでした。人間が一番偉く、それ以外の生物はあくまでモノであるという、ヒューマニズムに対する痛烈な批判がこもっているような印象があります。

内容はまずまずなのですが、ハードブックの上下巻あわせて1073ページは納得がいかない。
上巻での感想でも書いたけど、いらない文章や場面が結構あるように思う。ダラダラと文章を書いている感じは否めない。半分とはいわないまでも、700ページくらいに縮めて密度を濃くしてほしかった。

あと、この本は、主人公の渡辺早季の一人称視点で、過去を回想する形式で進行しているが、早季の思考がご都合主義ような気がする。主人公が仮定した事柄が、ことごとく現実の内容になっている。これはしらける。もう少し複線を張ったり、合理的で納得のいく説明がほしかった。

大味でずんぐりといった印象。食べ物にたとえるとロブスターか。
貴志氏の既刊本と比べると、辛い点数をつけざるをえ得ない。まぁ、好みの問題かもしれないけど。設定は悪くないため、惜しい一冊といえる。
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