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読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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2.6(水)読了
30歳のモーパッサンが文壇に躍り出た短編小説。
プロシア占領下のルアンを抜け出し、馬車でディエップに向かう10人の人々。その内訳は、伯爵、工場経営者、共産主義者、それらの婦人たち、修道女2名、そしてブール・ド・シュイフ(脂肪のかたまり)とあだ名される太った娼婦など
ルアンを馬車で出発した一同は、大雪のためにひどく難渋する。食料を持たない一同の空腹は耐えがたいものとなる。唯一、食料を持参していた娼婦は、気前よく食べ物を分け、一同は救われる。宿屋に泊まった翌日に馬車で出発しようとするが、プロシア仕官が娼婦に同衾をせまり、目的をとげないうちは一同を出発させないことにした。一同は娼婦に同情しプロシア仕官に憤怒するが、幾日も宿屋で足止めをくらった一同は苛立ち、言葉巧みに娼婦に妥協をせまる。娼婦は一同のために、心ならずもプロシア仕官に身をゆだねる。翌日、一同はディエップに出発するのだが、娼婦だけ食料を用意していない。他の者は娼婦に嫌悪感をあらわに示し、汚れたものを見るように扱い、疎んじる。娼婦は屈辱感と寂しさから声を震わせ涙を流す。一同は初日に娼婦の食料で救われ、宿屋ではプロシア仕官の欲望を満足させるために娼婦を犠牲にし、そのおかげで出発できたのにもかかわらずである。

 

晋仏戦争(独仏戦争)を背景に、階級の異なった人々の醜さとエゴイズムを暴き、人間社会の構図を描いた作品。社会的地位の低い娼婦を利用し、価値がなくなったとたんに冷酷に扱われる現実はとても生々しく感じられます。

飾り立てのない文章と奇をてらわない内容でコンパクトにまとめられた秀作です。

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