読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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2.5(火)読了
飢饉の折に主人から暇を出された下人が京の羅生門の前でたたずんでいる。このままでは餓死してしまうが、盗人になる勇気もない。羅生門を梯子で上がると、うわさ通り餓死した遺骸が棄てられている。ひとりの老婆が遺骸から髪を引き抜いている。この老婆の行為(=悪)に対する激しい憎悪から下人は、盗人になるくらいなら何の未練もなく餓死を選ぶだろうと考える。老婆に何をしていると問うと、遺骸の髪で鬘(かずら)を作るのだという。この者たちは蛇を干魚と言って売っていた。そうしなければ餓死したので、仕方がなくやったこと。それを悪いこととは思わない。同じ道理で、自分のやっていることは悪いことではない、と老婆は主張。下人はそれを聞き、老婆の着物を剥ぎ取り去っていく。同じ道理で悪いことではないと。 有名な羅生門のあらすじです。少し考えるとわかりますが、老婆と下人のやっていることは決して「同じ道理」ではありません。老婆は身寄りのないであろう遺骸から髪を抜いています。これはもちろん良いことではありませんが、誰からも文句は出ないでしょうし、老婆がひとりで食料を得ることは難しいであろうことを鑑みて、緊急避難的にやむをえない行為といえます。一方、下人は男性でおそらくまだ若いので、食料を得ることは決して不可能ではない。にもかかわらず、社会的弱者である老婆から衣類を剥ぎ取っています。老婆の行為には情状酌量の余地があり得ますが、下人にその余地はありません。遺骸から服を盗るのであればわかりますが・・・。 人間の決意の弱さ、善悪の基準の相対性が簡潔に描かれた作品です。 ・鼻・・・長い鼻を震胆の秘法で短くしたが、短くなった鼻を哂われ、長鼻にもどってよろ こぶ話。 ・芋粥・・・芋粥が大好きで飽きるまで食べてみたいという侍が、その夢を叶えると同僚 に招待される。悪意から大量の芋粥がだされて、途中で辞退するも受けつけ ない。狐にやることでおさまる。芋粥好きの侍は、芋粥を飲まずにすみ、安心 して帰っていく。 そのほか「運」「袈裟と盛遠」「邪宗門」「好色」「俊寛」を収録。 これらの作品は「今昔物語」「平家物語」「宇治拾遺物語」の作品を手直しして発表したものです。時代はうつり変わっても、良作は受け入れられるという見本です。個人的には「好色」「俊寛」が好きです。 PR |
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