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読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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2.12(火)読了
アルプスの小村で生まれた高地育ちの百姓の息子、ペーター・カーメンチント。進学を期に故郷を離れ、大学卒業後は文筆家として身をたてる。芸術家のサロンに出入りしたり、敬愛する聖フランシスのアシジの丘を訪れたりもするが、なかなか自分の居場所をみつけられず、都会の生活に失望し幻滅を感じるようになる。美しい少女エリーザベトへの愛と、姿は醜いが美しい魂をもった身体障害者ボビーへの奉仕により、彼はアイデンティティを保ち救われる。エリーザベトとの愛に破れ、ボビーも死んだ後、父親の介護をするために故郷へ帰る。ペーターは自然に包まれた土地と気取らない人たちのいる故郷に安住の地を見いだす。

ヘッセの処女作である今作品は、情景描写に多くのページが割かれていて、とても詩的な内容になってます。特に山や雲などの自然の描写は巧みで、そこだけを取り出すと一冊の詩集といった趣があります。作中人物がペーター(主人公)を詩人と讃えていますが、この作品全体が大いなる抒情詩といえます。詩のなかに人間愛や成長の物語が挿入され、故郷という安住の地に帰還することにより終息にいたります。
過剰な情景描写でやや中だるみになる部分もありますが、文章のうつくしさは文句なしです。考えて読むというよりも、詩を朗読するように心で感じとるのがいいと思います。
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