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読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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2.27(木)読了
<あらすじ>
大学卒業を間近に控えたさとしだが、就職先はなかなか決まらない。深夜のコンビニでアロハシャツを着た初老の男ヤマキに話しかけらる。腕をつかまれると、さとしの意識は遠のいていく。気がつくと本屋の倉庫で倒れていた。初老の男性ヤマキはさとしに短期アルバイトとして、本屋の店長代理をまかせる。いやいや勤め始めたさとしだが、意外と自分にあっていて、本屋の店員はおもしろいことに気づく。店員は20歳くらいのふてくされた感じの女の子ユイと、漫才コンビのような2人の男性だった。店長代理は客のリクエストに応えて朗読サービスを行うのが、その本屋のやり方らしい。さとしはしぶしぶ、小さな子のリクエストに応えて本を読む。すると、朗読を聴きに人がたくさん集まってくる。子供だけでなく主婦やサラリーマンたちもやってくるようになった。さとしは驚いたが、しだいに朗読が好きになっていく。
本屋の2階で寝泊りしていたさとしだが、旅行から帰ってきたヤマキに、ここは天国で自分は天国と人間界の橋渡しを行っている人間だ、と聞かされる。ストレスがたまったのでバカンスに行きたいが、本屋も経営している。よって、人間界からさとしを連れてきて、店長代理に据えたとのこと。もうしばらく働いていたらさとしは人間界に帰ることになるらしい。
ユイは現世で自殺し、再教育の形で天国にいて、そのうちまた人間界に戻ることになるらしい。そのためには、大笑いしたり、大泣きすることが必要。つまり感情の開放だ。さとしは次第にユイと親しくなっていき、喫茶店で身の上話を聞かされる。両親を亡くして弟と2人暮らしだった。時間がなく恋人とはあまり会えない。そのため振られてしまった。ぼーっと道を歩いていたら、弟がユイを追って走ってくる。そして車に跳ねられて死んでしまった。ユイは自分を責めて、ビルの屋上から飛び降りて自殺した。そういうことらしい。
ある日、いつものように子供が朗読をせがみにくる。「ナルニア国物語」7巻の終わりの方だった。朗読していると、いつもはさとしの朗読を聴かないユイが涙を流して聴いていた。弟が好きな本だったのだ。そして、その本の朗読を頼んだのは事故死したユイの弟だったのだ。途中からユイが朗読を継ぐ。ユイは感情を開放して自殺直前の状態に戻ることになる。1日の猶予が与えられ、2人で公園で話をする。ユイがさとしにキスをする。ユイは人間界に戻ったら記憶を無くしてしまうが、さとしは絶対にユイを探し出すと決意する。さとしも人間界に戻ることになる。後任は、ヤマキが一緒にバカンスにいった女性(老いらくの恋人)を連れてくるらしい。最後の朗読はさとしが選んだ「泣いた赤鬼」。さとしが祖母に聞かされた好きな本だ。朗読中、後任の女性がくる。なんとそれは、さとしの祖母だった。
人間界に戻ってさとしは書店の店員になる。いつユイがきてもように「ナルニア国物語」は一番良い場所に配置している。10年後、さとしはお金を貯めて小さな書店を開く。子供たち相手に朗読サービスも行う。人間界に帰ってきて20年後、さとしは結婚し、子供もできていた。いつものように小さな女の子に頼まれて朗読をする。それは「泣いた赤鬼」だった。朗読し終わって、女の子は帰っていく。妻がさとしに声をかけてくる。さとしは妻に声を返す。「いま行くよ、ユイ」

小中学生向けの本ですが、すばらしい本です。短い話ではありますが、シンプルながら切れのいい設定が施されていて、読後感も良好です。何気なく読んだ本なのですが、めずらしく当たりでした。感動したい人は読まれることをおすすめします。
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