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読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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6.2(火)読了
第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞作。
仕事で東京のロケハンをしていた俺はある男をしばしば目にするようになる。その男は、地図帳を片手に東京中を歩き回っている。話しかけてみれば、その男は東京の地理に滅法強い。いや、強いなんてものではない。このような情景の場所を探していると問えば、すぐにいくつもの似たような場所をピックアップしてくれ、そして正確。
男にはもう一つ特徴的なことがある。地図帳内に多数の小説を書き記していることだ。そのいくつかを読んだ俺は、小説の面白さに夢中になる。ちゃんとエンタメしてるじゃん、と。
いくつかの小説を読んでいて、俺はそれら小説のある符合点に気付くようになる。あるひとりの女性が必ず小説に登場しているのだ。そしてその女性は地図男にとって大切な人物だったのだ。

真藤氏の処女作。地図を題材とした小説というところが魅力的。地図男の目立たないけれどもミステリアスな雰囲気もグッド。ただし、ラストの曖昧さは評価のわかれるところだと思う。嫌いではないがすっきりはしない。

彼の作品を読んだのは3冊目だが、そのなかでは一番オーソドックスな印象を受ける。文章も大人しくて普通だし、ストーリーも破天荒さはない。いちばん小説らしい小説といえる。
作中に小説を入れ籠的に挿入しているが、ちゃんと小説に仕上がっているのは見事。普通小説中に書かれている小説は面白くないものだが、ちゃんと小説になっている。下らないものだったら、受賞は絶対になかっただろう。
自作も期待している。
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