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読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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1.14(水)読了
長年監察医を勤めていた上野正彦教授の、ノンフィクション監察医記録。観察中に遭遇したさまざまな事件、事故などを興味深く書いています。

監察医というのは、簡単にいえば事件性のある死体や外圧が原因で死亡した遺体にメスを入れることによって、死因や死亡時刻などを割り出すお仕事です。れっきとした医者で、身分は地方公務員だそうです。
焼死体の場合は、喉の奥にススがあるかいなかで、死亡後に焼けたか焼死かが判別できます。死んだ後の人間は呼吸をしない。つまり、ススが喉に入り込む余地がないからです。そのようにさまざまなノウハウをもとに、死因等を割り出すのだそうです。

私も大学で「法医学」という授業を受けましたが、なかなか奥が深い学問だと思いました。さまざまな死体写真(首吊りや焼死体、溺死体を含む)を見て、それをもとに死因を解説してくれるのですが、見ているだけで気分の悪くなる写真も多数ありました。
間の悪いことは重なるもので(なにが?)、真夏の暑い時期というのにクーラーは壊れていて、300人収容の教室は熱気と写真で阿鼻叫喚の図となり……。思い出しただけで吐き気がします。
ちなみに「法医学」の試験は超絶難しく、不合格率90%。もちろん私も、お・ち・ま・し・た!

どうでもいいことかもしれないけど、1月9日にブログで書いた『死の雑学』とかぶる文章がある。175~176ページの数行にかけて、一言一句同じだ。盗作かこれは! と思ったが、よくよく見るとどちらも著者が上野正彦。同じ人だったのね……。
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1.12(月)読了
題名のとおり、健康に良い食事・食物が書かれています。
この本を要約すると、肉はできるだけ少なく(1日30gくらい?)、代わりに魚介類を食べて、野菜果物をたくさん食する、ということになります。当たり前といえばそれまでですね。

注目すべきはオリーブオイルの効用です。オリーブオイルは最も酸化しにくい油のうちのひとつで(英訳みたい……)、オレイン酸を高率に含んでおり、結果、血液中のLDL(悪玉)コレステロールが酸化しにくくなるそうです。動脈硬化の予防になりますね。

悪い食品の親玉は、意外にもマーガリンでした。マーガリンの脂肪酸は自然界に存在しない脂肪だそうで、体内で吸収分解しにくいそうです。その結果、血管に傷がついて炎症を起こしてしまい、血管年齢が低下してしまう。
この研究結果が発表されてから、米国では1970年をピークにマーガリンの消費量が減少に転じたそうです。2006年には、マクドナルドを中心としたファストフード店で、実質的にマーガリン脂肪の使用を禁じた法律が可決したそうです。それほど人体に害があるということです。

本の最後には良い食品を使用しての料理の作り方が載っています。親切だけど、サンマの塩焼きの作り方を書かれてもなぁ……。

1.11(月)読了
清朝末期の中国の宮廷を描いた壮大な叙事詩。李春雲(春児)という貧しい糞拾いと科挙を第一で合格して参内した梁文秀(史了)を中心として、宮廷の悲喜こもごもが繰り広げられています。
西太后や袁世凱、康有為といった歴史上の人物も数多く登場して、その意味ではノンフィクション作品として読むこともできます。

この本の素晴らしさは、圧倒的な筆力と描写力にあります。特に描写は精緻にして奔放で、読んでいて情景がありありと浮かんできます。適当にお茶を濁したと思われる文章はほとんどありませんでした。

当然ながら内容も素晴らしく、梁文秀が一族の期待を一身に背負って科挙を受けるという場面から、中国における科挙の絶対的な位置づけを知ることができます。科挙は日本における国家一種試験のようなものですが、中国のそれに合格するのは遥かに難しく、合格者を輩出することは一族どころか県の命運を分けるとも言われているそうです。それだけに、合格者は日月を動かすほどの権力を握ることができ、まさに神として扱われます。典型的な官僚支配制度といったところでしょうか。

上巻では梁が公務員として参内、春児が宦官となり曲芸で西太后の眼鏡にかなって昇進、李鴻章や康有為が帝の兄弟を焚きつけて革命を起こそうといったところで終わっています。
2段組で350ページの大著なので、かなり読み応えがあります。これから読む人は、心して読み進めることをお勧めします。

1.7(水)読了
生まれつき手足が不自由なお笑い芸人、ホーキング青山とビートたけしの対談。この2人はお互いの波長が合うらしく、2002年当時にはしばしば合って話をしたりしていたそうです。

対談の内容は単なる障害者論にとどまらず、お笑い、教育、政治内容など多岐にわたって論じられています。青山氏は、障害者を差別しだしたのは高度経済成長において障害者は生産能力がなかったから、と言っています。たしかに生産者という点においては、一般的に障害者は価値が低いような気がします。そして金がすべてだという社会風潮においては、障害者が低く見られるのは必然かもしれません。

たけし氏が指摘するのは、障害者が優しく健全な存在だというのは欺瞞だ、ということです。障害者も人間なので、欲深ければ犯罪も犯す。連続殺人事件を犯す身体障害者がいてもなんらおかしくはない。それはそうです。
ただ、私的には、「障害者が優しい」と思ったことは一度もないので、そのような発想がどこからでてきたのかは疑問です。他人から好奇な目で見られることが多いと思うので、性格面に影響がでることは考えられますが、やさしいというのは……?

お笑い芸人2人の対談ということで、ライトな感じで面白く書かれています。差別的発言も多々ありますが、真意を読み取るならば問題はないでしょう。いろいろ考えさせられる本です。
1.5(月)未読
ショートショートの神様である星新一の生涯を描いた自伝的作品。
この本のすごいところは、新一氏の父親や祖父の時代にまで遡って、星一族のルーツをたどっているところです。

星一族は戦前戦後と栄えた「星製薬」という巨大な製薬会社を設立・運営していたことで有名ですが、戦後、GHQによる嫌がらせや、さまざまな人の思惑もあり、結局は倒産してしまうことになります。星の父親が死去したあと、20数歳の星親一(新一はペンネーム)は社業を継ぎ、社長となります。が、彼は社長業に合わず、不良債権も山盛りという悲惨な状況に会社はありました。結局は倒産。新一氏は作家の道を歩むことになります。

いつしか新一氏はショートショートの神様とまでいわれるようになりました。私も小学生~中学生にかけて、星氏の作品を貪るように読みました。50冊くらいを10回どおりは読んだかな? 生まれて初めてまともに文庫本を読んだのも、星氏の「ボッコちゃん」です。従兄弟からもらった本ですが、本ってこんなに面白いのかと感動したおぼえがあります。

星新一は私にとって神様的存在であるとともに、読書のルーツであるといってもいいでしょう。残念ながら1997年12月27日(だったかな)に亡くなられました。新聞の一面にもデカデカと載りましたが、さすがにショックだった。

残念ながらこの本は未読です。図書館で借りたのですが、返却期限が明日に迫っているのです。550ページを超える大作であり、字も小さく、改行もほとんどない。まともに読むと、10数時間かかります。いや、20時間くらいかかるかも……。
ちなみに現在の段階で377ページ。無念。
1.2(金)読了
プロ小説家を育てるカルチャーセンターを主催している若桜木氏の、小説家になるためへの指南書。
若桜木氏は著作400作以上を誇っており、彼の主催するスクールから作家デビューする率はかなり高いそうです。

プロデビューするための指南やコネの作り方などという外堀、実際に小説を書くための技術やポイントなどが書かれたハード面の2つからなっています。

この本を読むのは2度目なのですが、小説を書くための具体的な内容が書かれているので、とても役立ちます。若桜木氏はこの分野ではとても有名な方だそうで、類書なども多数出版されています。

作家を目指している人はもちろん、書いてみたいがどうやったらいいか分からない人、簡単な論文作成が必要な学生たちにもお勧めです。
彼の他の本も読んでみたいのですが、なぜか本屋でも古本屋でも見つかりません。図書館で借りるかな……。
12.30(火)読了
会社を潰して妻とは離婚、子供は妻のもとへ。借金にまみれた男は養育費として月15万を送っていた。4ヶ月前から30万になった。高校の同級生に雇ってもらった営業の仕事は月30万。当然暮らせないが、水商売をしているマリのマンションにしけこみ、なんとか生活をしていた。

そんなある日、前から心臓を患っていた母親が危険な状態になった。安男は3人いる兄と姉に手術の相談をするが、それぞれ偉くなった彼らは冷淡にも突き放す。安男は憤り、金はないが自分が母親を助けるのだと、唯一の希望を胸に、自分の運転する車で百マイル(160キロ)を走り、遠いサン・マルコ病院へと向かう。

というお話。母親の凄さと、水商売をしているマリの素晴らしさを感じることが出来ました。なにしろマリは、安男が英子と寄りを戻せるようにと、安男が好きにもかかわらず、あえてセッティングをしました。そして、安男がマリに誠意を見せようと彼女の安マンションに向かったラストには、彼女は簡単な書置きとともに去ってます。なかなかできることではないと思います。

反面、兄弟の態度には腹が立ちました。どうしてあんなにも冷たくできるのか。理解に苦しみます。
なにはともあれ、ハッピーエンドで終わっているところがいい。読後感の良い作品です。
12.29(月)読了
表題作「キッチン」、キッチンの続編「満月」、「ムーンライト・シャドウ」の3作を収録。
実に10数年ぶりの再読になりますが、読んだ瞬間、「ああ、これこれ……」と思ってしまいました。なにが「これこれ」なのかというと、ばなな独特の文章に原因があります。

文章特徴として、文章の末尾を「と言った。」で終えるというのがあります。単純でそっけないけど、すっきりはします。表現としては「たまらなく」や「ものすごく」など、村上春樹が使いそうな表現法を使用しています。少なからず村上春樹の影響があるのではないかと推察します。

さて、吉本ばななの本を読み返そうと思ったのは、彼女の本は暗いという印象が私の心に根強く残っており、はて、そんなに暗い話だったかなと首をかしげたことが原因でした。読み返してわかりました。内容自体も人がたくさん死んで明るくはないのですが、最大の原因はその文章の暗さです。
暗さといったら語弊があるかもしれない。そっけなさ、無感動さ、機械的な……そんな感じを文章全体から受けるのです。しだいに心の底から寒くなってきて、読み終えるころにはぶるっと震えてしまいました。ある意味、すごいと思いました。

一番おもしろかったのは、「ムーンライト・シャドウ」。学生時代に書いた処女作だそうです。すばらしい。

吉本ばななは村上春樹についで、日本人作家では海外で2番目に売れている作家なのだそうです。難しい語はほとんど使われていないので、訳するのは簡単そうです。
12.26(火)読了
人の死に方について書かれている本。
上野氏は法医学の専門家で、監察医として多数の遺体を検死された経験を持つ人です。『死体は語る』などのベストセラーも出したという有名な方です。

この本を読むと、人間はほんのささいなことでも死んでしまう危険があるということがわかります。幼児や高齢者はいうまでもなく、健康で若い人でもポックリといってしまうことがあります。「ポックリ病」などはその典型です。老人よりも若い人がポックリと逝ってしまうようですから。

とはいえ、やはり幼児と高齢者は身体が弱いので、若者よりもリスクが高い。乳幼児などは首が据わっていないので、たかいたかいなどをしただけでも、脊髄に損傷が出来て死亡原因になることがあります。高齢者は入れ歯を喉に詰まらせたり、お風呂に入って心臓麻痺に陥ったり、やはりリスク要因は多い。

このような危険に直面した場合、知識があるのと無いのではまったく違うと思います。
子供がタバコを飲み込んだら、水分は飲ませずに吐き出させる(ニコチンは水溶性なので)。洗剤を飲み込んだら、水か牛乳を飲ませて吐き出させる。乾電池を飲み込んだら、体内で腐食する前に病院に連れて行かせる。子供は誤飲をよくするので、これくらいは知っておきたいものです。
12.25(木)読了
日本軍に徴収された豪華客船、弥勒丸はアメリカ潜水艦3隻の魚雷によって沈没。ベーカーと唯一の海軍将校のみが助かる。
謎の台湾人の正体はこの海軍中尉。彼は自責の念から弥勒丸の引き揚げを半世紀にわたって画策する。これは日本人により達せられないといけないという思いから、アメリカや大陸からの引き揚げ援助を拒否、日本人2名の命を奪ってまでも100億円を集めて引き揚げを実行する。

元海軍中尉の執念には驚かされます。しかし、やり方としてはどうなのか。人の命を奪ってまでもやることなのだろうか。エゴイスティックなところがあるのではないだろうか。
ちなみに、弥勒丸は南方からの金を大量に積載して上海に向かっています。中国の貯備銀行が破産しそうなため、そこに送り届けて金貨を鋳造するためです。銀行が潰れてしまったら大陸経営が成り立たず、それはつまり、大戦を始めるに至った意味そのものが失くなってしまうからです。

上下巻合わせて700ページに及ぶ大作です。弥勒丸の乗船員やその他の人たちの気持ちなどもよく描かれており、なかなかの良作でした。


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