読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
9.15(火)読了
1998年に脱北して中国、韓国に移り住んだ著者の記録。北朝鮮の現状が克明に記されています。 この頃の北朝鮮は慢性的な飢饉状態で、それでも税金は均一に取られるため、餓死者が出るありさまだったようです(現在でもそうだと思うが)。平時なら10割の配給が4割にまで減少されたため、とうもろこしの皮や草粥を食べて飢えを凌いでいましたが、それにも限界があります。とうとう人喰いまで出現する始末です。人喰いというと現代社会では快楽殺人と捉えられていますが、北朝鮮でのそれは純粋に食料にするための行為です。生きるために人を食う。「羅生門」の命題がそのまま現実になったような世界です。 著者は濡れ衣から牢屋に入れられて、拷問を受ける日々の合間に牢屋の人々からさまざまなことを聞きます。北朝鮮の社会主義が世界で最も優れた思想であると幼い頃から叩き込まれ、またその通りであると信じて疑わなかった著者ですが、次第にそんなことはないと思うようになります。 何とか娑婆に出ることができた著者は、中国に向けて決死の脱北を図ります。死ぬ思いで脱北して中国へ来、放浪の果てに、何とか韓国に到ることができたようです。そこでこの告白本を出版。よく出版したなと思います。北朝鮮に捕まったら即座に連れ戻されて、よくて公開処刑、下手すれば地下牢獄で死ぬよりも苦しい拷問を延々と与えられるでしょう。本当に勇気のある行動だと思います。 飢えるのは苦しい。普通に労働して食べられない国家は、やはりどこかが間違っていると思う。なぜ北朝鮮があそこまで国体にこだわるのか、正直言って理解できない。資本主義、社会主義云々以前に、最低限人民が食べられる国家を目指すべきだし、国策を変更すればそれは可能だと思う。そのためには、軍事クーデターなどで一度国家主権が移ることが必要だと思う。 金成日とサシで話して、国家の現状をどう考えているのか問い質したい今日この頃である。 PR 9.13(日)読了
9.11(金)読了
数年前にベストセラーとなった「バカの壁」。3年半前にブックオフで100円で購入して、途中まで読んでそのままになっていた本。今回、ようやく読み終えることができました。 脳についてや現代批判などがシステマティックに書かれています。いかにも頭の良い人が書いた本といった感じで、とても論理的に近現代の問題があきらかにされています。 若干の決めつけが幾つかあったのがちょっと気になりました。たとえば、ホームレスの人たちは働かないで食べることのできる恵まれた人たち、という箇所や、ホームレスの人たちが飢え死にしないすばらしい国、といったところです。好きでホームレスになったわけではないし、飢え死にしている人なんて幾人もいるでしょう。ニュースにならずに切り捨てられているだけ。そんな当たり前のこともわからないなんて、いかにも学者バカだと思いました。これこそが「バカの壁」。 そのほかの内容はまずまず良いです。いかにも大学の一般教養本といった記述ですが、一見の価値はあるかと思います。
9.10(木)読了
原油輸出で成り上がったドバイに赴き、ドバイドリームを掴もうとした青年のドキュメンタリー。「東京寿司アカデミー」で3週間寿司の勉強をして、その腕一本でドバイの超高級ホテルに乗り込み、「俺を雇ってくれ」と直訴するも門前払い。めげずに数十のホテルを巡って面接を受けたがどこにも受からず。幸運にも肥料会社に就職することができたが、数ヶ月であえなく倒産。そしてなぜかアブダビ刑務所に収監させてしまう。信じられないことにアラブ首長国連邦では、外国人労働者は雇用元の会社が倒産した場合にはワッパを掛けられて牢屋にぶち込まれてしまうのだ。牢屋は想像をはるかに絶する汚さだった。200畳ほどの空間に300人以上の囚人が詰め込まれ(全員が外国人労働者)、トイレは流れない、食事は3食同じ、水は1日1回、100ミリリットルほどしか与えられず……死ねというようなものです。 幸運にも彼は日本大使館と電話連絡をとることができ、わずか3日で釈放されることが決定した。しかしもし電話できなかったら、彼はいまもってアブダビ収容所に収監されていたかもしれない。アラブ首長国連邦はまさに「異常な国」、と氏は語っている。この本を読む限りにおいては、たしかに異常で法律のほの字もないような国に思える。石油資源に頼って本国の人たちはほとんど働かずに裕福な暮らしを満喫し、労働のほぼすべてを外国人労働者でまかなっている。労働条件は劣悪そのもの。牛馬のように働かせて、使えなくなったら刑務所へポイ。最低です。 遠からず石油資源が枯渇するだろうが、そのときこの国はどうなるのか? 暮らしぶりは一転、超貧乏になってしまうかもしれない。周辺のアラブ諸国からうけもよくないようなので、つらい時期を味わうことになるだろう。
9.9(水)読了
現大阪府知事、橋本徹氏のエッセイ集。2006年にかかれたもので、知事に就任する前の事件等をリーガルマインド(法律的思考)を使いながら語っています。 ホリエモン、光市母子殺害事件、辻本氏の秘書給与問題。そういえば、あのときあんな事件があったよね、と思わず遠い目をしてしまう事件がテンコ盛り。月日が経つのは早いものです。 橋本知事って、熱烈な死刑擁護派なんですね。それ自体悪いことではありませんが、本書を読んでいるとどうもひっかかる部分がある。論調が過激というか前衛的というか。たとえば、殺人犯には人権は一切必要ないなどという箇所には賛同しかねます。法治国家である限りは殺人犯といえども、「最低限の」人権は守られるべきだと思うのですが……。 いろいろとつっこみたくなる部分もありますが、リーガルマインドを駆使してそれなりに論理的に書かれてはいます。こういうところは弁護士だなぁと思いました。そんな橋本氏も現在では大阪府知事という役職についている。批判もたくさんあるけれど、一生懸命にがんばっている姿は好感をもてます。がんばれ!
9.8(火)読了
主人公の東大生、島崎国男が東京オリンピックの開会式でのダイナマイトの爆発を予告。身代金は8000万円(現在の8億円)。必死に追いかける警察と公安。逃げる主人公と同郷出身のスリの相棒。オリンピック当日の人ごみにまぎれて聖火台へと近付く島崎。もう少しのところで警察の発砲した弾が胸に命中し倒れる。東京オリンピックは無事に開会式を終えた……。 島崎国男が欲したのは金ではなく、平等な社会でした。10も年上の兄がオリンピックの建設開場 で死亡したのをきっかけに、国男はその建設現場で肉体労働に従事することにしました。東大生が肉体労働だなどと、周囲から呆れられながら始めた肉体労働は、過酷でした。日勤・夜勤は当たり前、暑いさなか奴隷のように働き続け、そして建設会社と下請け、孫請との間のどうしようもない格差。大学院でマルクス経済学を学んでいる国男でしたが、実際に現場で労働に従事して初めて、最下層の労働者の現実を目の当たりにすることになります。 最下層の労働力は国に抗うすべも知らず、日々肉体を酷使している。かたや支配者層は楽な仕事でより良い賃金を得ている。この不平等を改善するのは容易ではない。しかし国に一矢報いることはできる。それがオリンピックを人質にしての国への金の要求でした。島崎はその金を得て、貧農の家に配ってまわろうと決めていました。 読んでいて切なくなりました。島崎は頭が良く、純粋な好青年でした。ブルジョアとプロレタリアの関係に一石を投ずるべくオリンピック開場の爆破を企てましたが、それも失敗に終わり、事件自体がなかったものにされてしまいます。 国家と国民、支配者層と被支配者層、裕福の構図など、現在においてなお改善されない重大な問題へのテーゼがふんだんに盛り込まれています。ハードブック2段組で520ページという超長編ですが、読む価値はあると思います。
9.3(木)読了
睡眠法に関して書かれた本。現在の日本では5人に1人が何らかの睡眠障害を抱えているそうです。それを解消して少しでも睡眠の質を良くしようと、さまざまな睡眠法が紹介されています。 一般的に加齢にしたがって睡眠時間が短くなるものですが、それでも1日6時間程度の睡眠は必要だそうです。でも現在社会においてこ、の6時間睡眠を確保するのも結構難しい。まして7時間、8時間睡眠だなんて……。それならば睡眠の量ではなくて質を上げて補うしかない。 睡眠法については本書に譲るとして、まぁ、基本的には適度な運動と適切な食生活、ストレスを溜め込まずにおおらかな気持ちでいれば適度に眠れるでしょう。夜遊びはほどほどにして、寝酒はキッパリとやめ、一駅、二駅くらいはスイスイ歩き、腹八分で寝る3時間前には飲食しない、と。ふう、まるで面白くない人の典型だ。でも眠れるようになはなりそうだ。 結局は選択になりそう。健康な睡眠を得るためには失わなければならない「不健康」な生活というものがあるとする。「不健康」な生活を捨てて「健康」な生活と高質の睡眠を得るか、享楽を貪り毎朝地獄の覚醒を迎えるかはまさに選択。どちらが良いか比較考慮して決めると良いと思います。
9.1(火)読了
第15回日本ファンタジーノベル大賞大賞受賞作。 京大生の主人公である私が「水尾さん」研究をするというストーカーまがいの作品。読み始めて数ページで面白い作品であると感じた。京大生の思考を捩った知的な文章の中に変態性を散りばめたユーモア溢れる作品に、何度もにやりとしてしまった。 半分くらいは面白く読み進めることができたが、半分以降はややマンネリ気味となり、ラストに近付くにつれて平凡な青春小説のようになってしまった。最初から最後まで「水尾さん」研究一本やりな変態ストーカー青年を描いていればもっと面白い作品になっただろうにと重ね重ね残念に思う。 とはいえ、弱冠23歳でこの作品を書いたというあたりに才能を感じる。2作目は骨董屋をめぐる静謐な物語を書いているようだが、発売されたら是非読まなければならない。もしかしたらこの人は大化けするかもしれない、という期待もある。 「太陽の塔」というのは大阪万博の跡地に聳え立つ、故岡本太郎氏が製作したあの塔である。岡本氏でなくても「芸術は爆発だ」と叫びたくなるほどインパクト爆発のあの塔は、まさに「宇宙遺産」に登録されるに相応しい出来栄えだと思うが、いかがだろうか。
8.31(月)読了
その名のとおりヘビ飼育のガイド本。日本で一般的に見られるシマヘビ、アオダイショウ、ジムグリや世界全国のヘビも写真入りで紹介されています。 大きな声ではいえませんが、私もヘビを飼育しています。近くの公園で捕獲したアオダイショウ1匹とシマヘビ2匹なのですが、飼育しだして気付いたのは、同種のヘビでも個性や性格というものがあるということです。うちにいる中型のシマヘビは、捕獲当初から気性が荒く、餌もカエル、魚など好き嫌いせずになんでも食べます。小さなシマヘビ(75センチ)は臆病で食も細く、生きているカエルを数匹、やっと食べてくれるといった程度。青大将(1、4メートル)は温和で人を恐れず、噛み付いてくることもほとんどありません。食行動もまずまず良いので、飼育するのは一番楽だと思います。 ヘビの飼育で一番頭を悩ませるのは餌です。基本的に餌はマウスやラットを丸ごと与えるのですが(完全食なので)、マウスは1匹100円くらいして高い。ペット屋に購入しに行くのも面倒です。本を読むと鶏の手羽先でも飼育可能とのことなので、次回からは手羽先中心の餌にチェンジしようと思っています。安いし、スーパーに売ってるし。 その他、ヘビ飼育のヒントがたくさん書かれているので、ヘビ飼育に興味のある奇特な方は読んでみるといいでしょう。写真もきれいです。
9.22(火)読了
日本および海外のSF小説を紹介した本。書評やトップ10など充実した内容です。 私は今までほとんどSFを読んだことがないと思っていましたが、この本を読んで、そうでもないかもしれないと思うようになりました。というのも、一口にSFと言っても方向性はさまざまで、ファンタジーと思ったりホラーと思って読んでいた本がSFのジャンルに入っていることがあるからです。 例をあげると、「アルジャーノンに花束を」「リング」「風の谷のナウシカ」、これらの本もSFに分類されることになります。「リング」はどうみてもホラーだろとつっこみを入れたくなりますが、SFの要素がないとも言い切れない。ホラーSF、怪奇SFということにでもなるのでしょうか。 私がSFだと思っていた(いる)のは、宇宙船に乗って惑星探査をしたり、タイムマシーンで過去に行ったり(古い)といったハードSFです。しかしそれだけをSFといってしまったら、SFというジャンルはとうに潰えているかもしれません。SFは思ったよりも間口の広いジャンルのようです。 巻末にSF小説の紹介などもあるので、それをもとにSFという新たなジャンルの開拓を行いたいと思います。 |
カレンダー
プロフィール
HN:
とし
性別:
男性
趣味:
読書、コーヒー、ジョギング
最新記事
(06/30)
(05/31)
(04/30)
(03/31)
(02/29)
(01/31)
(12/31)
(11/30)
(10/31)
(09/30)
ブログ内検索
最古記事
(01/08)
(01/09)
(01/09)
(01/10)
(01/11)
(01/12)
(01/13)
(01/14)
(01/15)
(01/16)
フリーエリア
最新CM
最新TB
アーカイブ
アクセス解析
|