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読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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3.11(金)読了
満州事変は何故起こったのか。誰が起こしたのか。当時の満州の様子を、日本の軍人側、そして爆破された英国製の最新鋭のお召し列車を語り部として克明に描き出しています。

浅田氏は中国関係の著書を多数書かれいます。今回の「マンチュリアン・リポート」はそれらの本の続き物の1冊に位置づけられると思います。実際、他の著書に登場した人物も多数登場しています。

この本を読むと、なぜ満州事変が起きたのかがよく分かります。「満蒙は日本の生命線」と言われたように、満州は肥沃な大地が広がっており、日本には存在しない鉱物資源も豊富でした。なにより、中国、ソ連と国境も接しているので、緩衝材的な意味合いもあります。軍事的、経済的に最重要地のひとつといえるでしょう。第二次世界大戦でも日本は、アメリカに満州の地を手放せと恫喝され、止むを得ず戦争に突入したという経緯があります。満州を手放すのは日本を分割するのと同じような意味合いがあったのですね。

ではなぜ満州事変が起きたのか?……それは本著を読めば分かります。惜しむらくは、歴史的経緯をなぞりすぎて小説として大切な面白みが無くなってしまったこと。はっきり言って(浅田次郎氏の小説としては)面白くない。残念至極。

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2.28(月)再読了
『青の炎』に引き続き、約9年ぶりに読み返してみた。
ストーリーは断片的にしか覚えていなくて、途中からはほとんど記憶になかったため、最後まで手に汗を握って読むことができた。

フリーターでゲーム中毒の青年、囲碁のプロ棋士を目指す少女、自己改革セミナー講師の線虫に犯された大学教授、病に犯されて余命幾ばくもない少年etc……。旧厚生省の批判をたっぷり詰め込んだ、時事批判も面のあります。

主人公が最後に行った線虫の取り扱いは賛否両論あるでしょう。一概に正しいとも間違っているとも言えないと思います。苦痛を取り除くモルヒネのような役割は担うでしょうが、本人が事実を知ったらどう思うでしょうか。嫌か、それとも苦痛を除去してくれてあるがとう、か。犯された脳は後者の回答しかださないでしょうが。

貴志氏は多数のジャンルの本を出版していますが、やはり彼の本領はホラーに尽きると思います(『青の炎』はよかったが)。着眼点、ストーリー、描写力、どれをとっても一級品だと思います。最新刊の(といっても2010年刊行ですが)著書も図書館で予約しているので、近々、読んでみたいと思います。

3.22(火)読了
待望のバシャールの新刊(といっても1年前に発売された本だけど)。
今回は、『ユダヤ人大富豪の教え』の本で有名な、本田健氏と対談しています。

本田氏は事業家でもあったので、質問内容は、金融、これからの世界経済についてがやや多いです。それによると、これからの世界はお金による交換ではなく、個々人の能力によるお金以外の交換手段に移行していくようです。現在のシンクタンクなどの方式が主流になるということですので、単純労働などの類が減少するのではないかと想像します。

今から10年後くらいに、インターネットの革命が起きるそうです。インターネットに量子コンピュータが組み込まれ、情報伝達が劇的に改善されるようです。その改善を受けて、フリーエネルギーが実用化されるそうです。そこまでいくのはちょっと遅く、だいたい2025年から2050年くらいの間だそうです。フリーエネルギーが実用化されたら何ができるか? ……アイデア次第で何でもできそうですね。よって、個々人のアイデア、能力が重要になるわけです。なるほど。

その他、2012年のパラレルワールドへのシフト、おなじみの「ワクワク」についてなど、盛り沢山の内容になっています。紙面に納められなかった情報は、本田健氏のHPに記載されているようです。そちらも見てみようと思います。

3.12(日)2読目
青春倒叙小説。
貴志氏の初の推理小説ですが、約7年ぶりに読み返してみましたが、よかった。当時も素晴らしい作品だとは思いましたが、2回読んでみて、より素晴らしさが判った気がします。殺人の場面や警察とのやりとりは手に汗握ります。同級生の少女との関係、複雑な家族関係、そして櫛森青年が最後に決意したけじめの取り方……。いやぁ、感動です。

内容は結構ドロドロしているのですが、じめじめせずにさらっとした印象があります。主人公の櫛森青年の性格も、いかにも好青年といった感じで、性格も良く頭も良く、とても計画殺人を犯すような人間には思えない。そのギャップがいいですね。

本章では『罪と罰』『こころ』『山月記』といった名著の引用が出てきます。どれも高校の国語の教科書でおなじみの作品ですが(『罪と罰』は違うか)、なるほど、どれもストーリーと絡んできます。櫛森青年の殺人を犯すまでの思考回路が『罪と罰』のラスコーリニコフ的で、殺人を犯す過程が『山月記』の虎で、殺人を犯した後の心理過程が『こころ』の先生ですね。

良作ですが、いくつかご都合主義的な展開もありました。たとえば、殺人用具の隠し場所を同級生に見つけられる場面とか。「そりゃご都合主義だよ」と声に出してしまいそうでした。あと、義理の元父親を殺害するというのも、心理的に正常な人間の行為とは思えない。他にもいろいろ方法があったはずだと思うのに。論理的思考ができない人間とは思えないのだけどね、櫛森青年は。

と、いくつか問題点はありますが、名作であることは間違いありません。映画化もされましたが、まずは本から読んでみてください。お勧めです。

2.9(水)読了
手塚治虫の短編集を集めたもの。
手塚の特徴でもありますが、内容はSF、ファンタジー系統が多いです。未来SFなどは手塚の真骨頂とでも呼ぶべきで、安心して読むことができます。

さて、この本は図書館で何となく借りたのですが、実は何度か読んだことがあります。おそらく自宅の本棚の奥にでもあるのでしょう。自分で持っている本を借りて読む、たまにあるポカミスです。以前読んだ本を未読と思ってまた借りたり、読んだはずと思い込んで未読の本を読まずに放置したり(さすがにあまりないけど)、誰でも一度は経験があると思います。

しかし手塚作品は何度読んでもいい。安定して面白いし、内容も時代を感じさせない。「火の鳥」など100年後でも通用するのではないか? と思わせるほどの完成度の高さです。あと100年生きていて、100年後の子供に読ませて感想を聞きたいところですが、そのためには火の鳥の血を飲まなければいけないか。

2.7(日)読了
エッセイ集。2001年出版なので、ちょうど1年前にかかれたものです。
内容はいつものように、自衛隊の頃の思い出、ラスベガスでのカジノ体験記、母校の中学・高校での公演、自衛隊での公演……。本当に活動的な作家です。

読んでいていつも思うのですが、浅田次郎という作家は本当に文章が巧い。何気ない言葉のひとつひとつが洒落ていて、無駄な文章がない。本書にも書かれているが、簡単な文章を難しく書くのは簡単で、難しい文章を簡単に書くのが作家というものである。至言ですね。

エッセイ集の常で、この本も文章量は少ないです。行間も文字も大きいので、下手したら同じページ数の標準の小説の半分くらいの文章量かも。しかし内容が面白いので、ファンなら絶対に読むべきでしょう。浅田次郎の本は小説でもエッセイでも満足感があるからいいな、と思う。

2.2(水)読了
終戦間際に召集令状を受け取った男たち。彼らのうちの一人は、敗戦時にアメリカ側と話し合いをするという極秘任務を負った、アメリカ語を話せる「特業種」の男だった。本人もまわりもそのことは知らない。彼らは北海道の最北端、最果ての島に赴任。終戦後にアメリカ軍を待っていたが、そこにやってきたのは、日露不可侵条約を破って進行してきたソ連軍だった。日本軍は戦った。そして質量共に大幅に劣るソ連軍を一方的に撃破した。しかしこの一方的な戦はソ連の策略だった。日本軍は「戦争が終結したにも関わらずソ連と戦った」という濡れ衣を着せられ、捕虜としてラーゲリへと送られることとなった……。

下巻の最後で、この物語の主人公級の人物がほとんど死にます。生き残った若い医師も、あまりの現実の儚さにラーゲリで自殺を企図します。しかし、あるものが彼に生きる力を与えます。それは、アメリカ語を話す「特業種」の男が残した、「セクサス」の訳でした。その訳とともに物語は終了します。

最後の方、泣きそうになりました。ソ連の条約破棄の侵攻、国土を守るために生命を投げ打って戦う男たち。捕虜となりラーゲリへ送られ、生体実験まがいの重労働で倒れていく彼ら。文字通り、彼らは人柱となったのです。

日本人にはあまり知られていない、日本最北端での終戦の様子が克明に描かれています。素晴らしい本なので、一読をお勧めします。

1.27(木)読了
浅田次郎の最新作。太平洋戦争時代の北方領土を舞台とした物語です。

最初の数ページを読んで、「面白い」と思いました。太平洋戦争末期の旧日本軍の疲弊した様子、一億総玉砕を旗印に軍隊を量産し続ける陸軍の壊滅寸前の状況から始めるのですが、兵隊の人選をわずか数日で決定し、数個師団を作り出す役割の苦悩がよく描かれています。

本書には北方領土の土着の人々(アイヌ)の由来、日ソ間で交わした樺太・千島交換条約などについて史実通りの記載がされています。日本最北端の島、占守島に住んでいたアイヌは、明治時代に日本政府によって色丹島に移住させられたそうです。占守島とソ連領はわずか12キロしか離れておらず、占守島のアイヌがソ連と密貿易などされたら問題があるという、外交上の決定でした。アイヌの人も本書に登場していますが、時代によって翻弄されるアイヌの事情、心情がよく伝わってきます。

上下巻の2冊でかなり長い物語ですが、とても興味深く上巻を読み終えることができました。素晴らしい出来の作品です。もしかしたら浅田氏の著書のなかで一番かも、と思えるほどの傑作です。下巻も期待できます。

1.21(金)読了
人気ライトノベル。表紙が可愛すぎて図書館で借りるのが恥ずかしい。それはおいといて。
4巻は4篇からなる短編集ですが、4編目がどうもおかしい。妹が妙に素直で可愛くなっているのである。さては作者、ここにきて妹の性格を従順にしてきたか、と作者の意図を慮ったのですが、最後の最後に妹くんが急にアメリカに飛び立っていなくなるというオチ。ああ、そういうことね。そして”黒猫”が俺の高校に入学してきて……まぁこれは第一巻の年齢設定から考えても、こうなることがミエミエだったので、いわば予定調和といったところ。

ともあれ、これでとりあえずひと段落ついたようです。4巻以降も続いているようですが、なぜか図書館で5巻をすっ飛ばして6巻が先に手に入ってしまったので、読もうかと悩んでいるところ。やっぱやめ。5巻読まないと話が見えてこなさそうなので。ぐっと堪えて6巻を返却し5巻を借りて、再び6巻を予約して一ヵ月後くらいに入手して……先は長い。ゆっくりいこう。

「俺の妹」シリーズ、ライトノベルの中ではかなり面白いほうだと思います。文章もストーリーも安定しているので、安心して読み進めることができます。全巻読破決定。

1.9(日)読了
第10巻は一冊丸ごと、柳沢教授の若かりし日の物語です。
戦後日本が舞台で、柳沢は米軍に接収されそうになっていたある館で、偽装のために学校の先生となり、戦争孤児を集めて授業を始めます。

戦前戦後の価値観の変化、学校の先生の授業の矛盾など、ある意味当時の風刺作品となっています。大人はまだいいですが、価値観が固まっていない子供などは、何が正しいのか、何を信じたらいいのか戸惑ってしまい大変だったでしょう。昨日まで「正しい」と教えられていた事柄が、次の日には「間違っていた」となるのですから。教師不審になってしまいますね。

柳沢は、学校教育は掛け算と多少の読解力があれば良いという生徒の意見に苦悩します。掛け算と文字の読み方が分かればそれで良いというのは、いささか乱暴な意見のようにも思いますが、柳沢は本気で「そうなのかもしれない」と考え込みます。確かに、因数分解や語法など日常生活ではあまり必要ないのかもしれませんが、科学者、研究者、文学者など、それらが必要な人たちもいます。また、それらの人がいなければ化学発展や文化の興隆はありえないし、それがなければ国の繁栄は成し得ない、なんて普通に考えたら(考えるまでもなく)分かりそうなものです。微分積分のできない科学者なんてイヤです。

 



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