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読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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6.27(金)読了
第4回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。
横浜ベイブリッジのゴミ問題をテーマとした風刺的ホラー作品。

臨海開発予算を得るため、男が1本のテープを持ってきて、委員の皆に聞かせる。
そのテープはD-ブリッジテープという。横浜ベイブリッジのことだ。
物語は、13歳の男がテープに込めた音声を中心に進められていく。

5歳の子供がゴミと共にゴミだらけのベイブリッジに遺棄された。
子供は橋から外に出ようとするが、大型トラックにはねられて右足がボロボロになる。
外に出るのは諦め、ベイに捨てられていた車を住居として暮らす。

食物は虫や草、猫、鳥などなんでも食べる。足が腐ってきたので、車のドアを利用して自分で切り落とす。自分の血をすする。ゴミ虫を食べる。冬は食物がなくなり、土やゴミの木なども食べる。

毎日1台は車がきて、ゴミを捨てていく。ときには死んだ人間も捨てていく。ドラム缶に入ったドロドロした黒い液体も捨てていく。橋の下の川には死体がぷかぷか浮いている。

ある日、小さな女の子がゴミの山で泣いているのに気が付いた。
彼女は9歳で名前はエリハという。ハーフのかわいらしい女の子だ。両親が事故死したあと、親戚が彼女を引き取ったが、盲目の彼女を養う資金もなく捨てられたらしい。
2人でゴミの山で暮らしだすが、冬に入り食物も尽きてきた。2人とも餓死寸前だ。
生き残るために、男はある決断を下す。そして結末を迎える。

テープには以上のような内容が収められていた。
このテープの効果があったのか、臨海予算は無事におりた。
テープにはまだ続きがあった。それは男の悲痛な叫びだった。

この本を読んだのは3回目です。
短編なので原稿用紙200枚程度ということもあり、1時間くらいで読めます。
完全にアイデアの勝利といった作品だと思います。この作品の2番煎じは駄目です。まったく価値がありません。

最初読んだときも感動したけど、3回目を読んでも良い作品だと思いました。
沙藤氏はこのアイデアを思いついて、執筆しているときはとても楽しかったと思う。面白い場面だけを書いて、面倒なところは一切書かないで済むつくりです。

それにしても、ホラー小説大賞は本当にレベルが高い。
1回、2回目はたいしたことがなかったけど、貴志祐介や『パラサイト・イヴ』の瀬名秀明が出てきた頃から、一気にレベルが上がった。
長編は完全な実力勝負の感があるけど、短編はアイデア勝負のところがある。そこのところも面白い。

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