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読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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7.8(水)読了
第二次世界大戦末期のフィリピン戦線における、ある中年男性兵、田村一等兵の体験を一人称で綴っている。

田村一等兵は戦線で結核に冒され、芋6本で本隊を追放される。現地人を殺害したり、蛭や草木を食べたりしたが、人間としての最後の砦である人食だけはしない。猿肉として渡された人肉も、あくまで猿肉として食し、自己の意思では人食をしない。
終戦後、記憶を失った田村は、精神病院に収容される。そこで徐々に記憶を取り戻していく。最後の最後まで自分は、自分の意思で人肉を食しなかったという結論に至り、神に感謝をする。

日本の戦争文学の金字塔である作品です。
一人称で書かれていて少々理屈臭いところもありますが、飢えの凄まじさや追い詰められた人間の生への執着などが生々しく書かれています。人間は追い詰められたら人肉を食するか。これは究極に近い問いかけでしょう。普通に生活していれば、決して考えることのないテーマだと思いました。

戦中戦後は食糧難のため、酒造用の米の割り当てが大幅に減少した時期があったらしいです。こうやって「鬼ころし」を飲むことができるのも平和だからだなぁ、と平和に感謝する今日この頃でした。
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