心をゆさぶる平和へのメッセージ～なぜ、村上春樹はエルサレム賞を受賞したのか？～

11.18(水)読了
２００９年２月、エルサレム賞を受賞した村上春樹氏が、イスラエルでおこなわれた授賞式で語ったスピーチの全文。
この全文は各新聞やネット上でも掲載されたので、知っている人も多いでしょう。「卵と壁」という比喩を使用して、やんわりとイスラエルのガザ侵攻を批判しています。たとえ卵（ガザの非武装市民）が間違っていようとも、私は常に壁（武力＝イスラエル）よりも卵の側に立ちます、といったくだりはなかなか意味深です。相手が間違っていても暴力はいかんよ、という意味でしょうか。

このような趣旨のスピーチをイスラエル首相の前でおこなったのですから、勇気があると思います。イスラエル賞の受賞を拒否しろといった意見を村上氏はたくさん受け取ったそうですが、拒否するよりもむしろその場に赴き、自分の思っていることを主張するほうがより良いとの判断で賞を受けたのだそうです。すばらしいですね。

このほか、２名の子どもの、戦争や環境汚染に対する文章が掲載されています。どちらも子どもが書いたとは思えないほどすばらしく、純粋な思いが綴られています。
一読の価値のある本だと思います。