家に帰らない男たち（松井計著）

8月12（金）読了
『ホームレス作家』で自身のホームレス生活を赤裸々に綴った松井氏が、家があるのに帰らない男性に取材をして纏めた本。

本著に登場する男性は、（ほぼ）全員が自宅を持っています。庭付き一戸建てを所有している人が多く、仕事も銀行マンや企業家など高収入が多いことが特徴です。そんな彼らが自宅に戻らずカプセルホテルやサウナに泊まる理由、一番多いのが、仕事が夜遅くまであるため、時間を掛けて家に帰ると睡眠時間が短くなる、というものでした。疲れるため帰るようなものだと。片道１、５時間、ひどい人になると２、５時間、往復５時間の通勤時間は確かに拷問です。

ごく自然に週末婚になり、それが数年間続いている人、家に帰っても自分の居場所がない人など、悲喜こもごもの人間模様がここにはあります。時々家に帰るから、家にいることが心地良い、逆に毎日だと気詰まりだ、という男性が割と多いのが驚きです。新しい居住形態といったらいいのでしょうか。それで家庭が上手くいっているなら問題はないと思いますが、いかがなものでしょうか。