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読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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8.21(月)読了
東京ベイブリッジに立てこもった斎藤家と住民たちは、政府の懐柔策により人数を減らしていく。政府は、直系親族に身寄りのある人はそこに行ってもいい、身寄りのない人は、政府がナリタに土地を提供するのでそこに住んでもいいと言ってきた。しかしナリタは放射能汚染により人の住めない土地なので、実質的に人体実験用の提案だった。

斎藤家と一部の住人が力を合わせ、小型原発を製造することができた。これで政府は住民を攻撃できない。これにより、政府との話し合いの場を持つことができた。ともったが、政府は住民にウイルスを撒き散らす。住民はほぼ全滅したが、運良く会議に欠席した斎藤一家は難を逃れ、元自衛隊員ほか数名の住人も生き残った。彼らは小型原爆を製造し、元自衛隊員が国会議事堂に向けて原爆を打ち込む。爆発したと思いきや、打ちあがったのは大きな花火。斎藤家の3ヶ月の娘、小夜子が原爆を花火にすりかえたのだ。

小夜子はホルモン異常により、通常の何倍もの早さで成長し、とうとう中年女性の容貌となる。ここで斎藤家の原発が爆発寸前の危機に。制御棒を入れなければならないが、高熱でクレーン車が溶けてしまい万事休す。老婆のような容貌となった小夜子が水に塗らした服を幾重にも重ね着し、怪力で制御棒を原発に入れ込む。小夜子は火達磨、原発はメルトダウンの危機を脱した。

小夜子は死んだ。斎藤家は原発と豊穣な土地を抱えたまま、東京湾から切り離された。ひょっこりひょうたん島のように太平洋を漂う漂流一家となったわけだ。斎藤家は島で暮らし、春になってアメリカにたどり着いたら、子供をそちらに学校に通学させよう、などと話し合っているところで終了。

原発、放射能、首都を襲った大震災など、まさに現在を予知したかのような作品です。ちなみに執筆は1997年。原発の仕組みや描写などは非常に正確で、丁寧に取材したあとを見て取ることができます。内容もとても面白かった。篠田節子というと「絹の変容」のイメージが強く、エンターテインメントの要素が少ないと思っていたけど、この作品でイメージが変わりました。他の作品も読んでみたいと思います。
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