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読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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1.27(火)読了
吉川英治文学新人賞作品。
大企業社長の長男坊は18歳で自殺、次男坊の主人公と母親は家を出てともに暮らし、三男坊が父の後をついで副社長となる。
次男坊は小さな衣服店で働いている。安い着切れを無料同然に仕入れ、専属デザイナーの女性に服をデザインさせて、それを地下鉄沿線の会社に売り込むという仕事だ。毎日六百数十円の地下鉄一日乗り放題切符を購入し、仕事に励む。
ある日、地下鉄の階段を上がったところで妙な光景に出くわす。店も古く、辺りの様子もおかしい。どう見ても、30年前の光景である。信じられない思いで歩いていると、30年前に自殺した兄とばったり出会う。その日は兄が自殺した日の夜だったのだ。

地下鉄を舞台に主人公とヒロインがさまざまな時代の過去へと遡り、秘められた真実と向き直ります。ラストは納得のいかない終わりかたでしたが、そこに至るまでの過程や複線は素晴らしく、浅田次郎ワールドというべきものが広がっています。

浅田氏はこの著作の後、『鉄道員(ぽっぽや)』で直木賞を受賞されています。彼にとって鉄道というのはターニングポイントなのかもしれません。
10年近く前に読んでみて、この作品がなぜ直木賞を受賞したのかわからない、という感想を抱いたのですが、今読んだらまた別の感想を持つかもしれません。機会があったら再読したいと思います。
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