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読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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5.21(金)読了
最後の3巻は船を担保に金を貸す話です。
灰原は「船舶検査証」と「船舶国籍証書」(だったか?)の違いが分からないまま金を貸し、二重取引でまんまと1億6000万円を騙し取られてしまいます。犯人を突き止めるために13日間必死で頑張りますが、その途中では、海の司法書士とよばれる海事代理士や裁判官、場末のスナックのママ、夜鳴きラーメン屋、警察官などさまざまな職種の人物と出会い、ドラマを生み出していきます。

事件の内容もラストに相応しく複雑です。
不渡り内容の差異や二重取引、手形の裏書、船舶関係の法律など、素人が一見しただけでは全体像が掴み辛い。おそらく司法試験でも、船舶関係の箇所は出題されないのではないかと思います。それほどディープな内容になっています。

灰原は執念で詐取した相手方を取り押さえ、無事に1億6000万円を取り戻します。最後にものを言うのは、あきらめない不屈の精神というところでしょうか。後味の良いラストでした。

全19巻を読み終えて思うのは、生きていくうえで、最低限の法律の知識は必要だということです。法律知識がまったくない人は、さまざまな場面で損をしたり、騙されたりしてしまいます。しかし現在の小中学校、高校でも法律のほの字も教えません。結果、キャッチセールスや悪徳商法による被害があとを絶ちません。クーリングオフ制度や詐欺などの民法等の基礎知識があれば簡単に騙されないし、たとえ被害にあったとしても対処法などがわかります。こういうことはとても大切だと思うのですが……。
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5.19(水)読了
マルチ商法について。
この巻ではマルチ商法で大もうけするために帝国金融で借金する警察官が描かれています。
昔、豊田商事がネズミ講で世間を騒がせ、そのため無限連鎖防止法という法律が制定されました。親が子を勧誘し、複数の子を勧誘したらランクアップ、商品を安く購入して捌く権利を得ることができる。さらに子が商品を捌いた場合、親はリベートとして売上代金の数パーセントを受け取る。このような仕組みです。上に立てば寝ていても不労所得が得られるのですから、ある意味資本主義の最たるものといえなくもありません。が、この方法は人間関係を悪くします。

数年前、知人からア○ウェイというものを勧誘されました。話を聞いてすぐにマルチ商法だと分かりました。勧誘している子も当然それを承知の上だと思ったのですが、「あっ、これマルチ商法とはぜんぜん違うよ」と笑いながら言います。聞けば、東京で開催されたア○ウェイの大会に出席し、そこでいろいろ教えられたのだそうです。マクドで話を聞いていたのですが、周囲の人はドン引き。100人いたら100人とも即座に「マルチ!」
と指摘するほどのいかがわしさです。洗脳された彼女は目を爛々と輝かせながら説明しています。新興宗教に誘われるのと同じくらいの恐怖を感じました(もちろんキッパリと断りました)。

資本主義の原則から考えて、大儲けするのはほんの一握りの人々です。次に多いのはそこそこ儲ける人。ほとんどの人は働いても働いてもなかなか儲けることはできません。ピラミッド形ですね。マルチ商法にも当てはまる単純な真実なのですが、欲に目がくらんだ人は都合の悪いことに目がいかなくなるようです。

5.17(月)読了
地上げ屋・肉欲棒太郎の再起、店子の夜逃げで資金繰りが悪化したビルオーナーなど。
航空チケット11回分を10回分の値段で購入できることに注目した肉欲。ヤクザの使い走りから足を洗い広島でチケットサービスの新商売を始める。資金はわずか70万円なので、広島空港近くのプレハブを住居兼家屋として使用する。トイレは野外、プロパンガスとトイレから汲んできた水を使用するという、かつては20億円を動かしていた男の姿はそこにはなく、文字通り1からの出直しだった。チケットサービスは出足好調。前途洋洋というところで話は終わる。読後感は良い。

店子が夜逃げした広告会社の社長は、詰め寄った債権者に1000万円の保証金を支払い、経営が悪化する。苦し紛れに十一の貸し金屋に手を出し、いよいよ経営はドツボにはまる。貸し金屋の目当てははした金でビルを乗っ取ること。姦計に嵌ってしまい、会社はとうとう倒産してしまう……。

肉欲の再起の話は、ナニワ金融道の中でもっとも面白いところです。アイディアと行動力次第で、人間は未来をつかみ取れるものだなぁと思いました。
店子の夜逃げ編は後味があまりよくありません。経営者は切羽詰ると十一とわかっていても手を出してしまうものでしょうか。いくら短期賃借権を打たれるのが嫌だからといえ、なぜ十一などに……と思ってしまいます。倒産回避に頭がいっぱいになって冷静な判断ができなくなっていたのでしょう。
5.15(土)読了
地上げ屋、先物取引で破産した教頭先生など。
先物取引を素人がするとろくでもないことになる、というのが私の認識です。一昔前ならば「株式」もその範疇に入ったのでしょうが、最近ではネットで誰でも手軽に取引ができる時代なので、敷居はぐんと下がった感があります。小学生でさえ親の指導を受けながらネットで株の売買をするという、なんとも寒気がする話もちらほら耳にします。

さて、教頭先生は先物取引で大豆を50万円購入してしまいました。きっかけは、業者からかかってきた電話で、「結構です」と答えてしまったからです。業者はこれを「結構ですね~」、つまりOKのサインだとして(むろんわざと)、50万円分の大豆を購入してしまいました。その大豆がわずか3日で62万円になったのですから、入り婿で金に不自由していた教頭先生は一気に先物取引に引きずりこまれてしまいました。業者の言うがままに100万、300万、そして品物もプルトニウムの1000万にまで発展して、気がつけば財産を巻き上げられていました。欲の皮が突っ張るとこうなるという典型例ですが、果たして自分がああならないという保障があるでしょうか? せいぜい甘い話には罠があると考え、悪徳業者に引っかからないように気をつけるましょう。本当に儲かるのなら業者が自分で投資すればいいだけの話ですからね。

7.18(木)読了
手形問題、地上げ、交通事故の後処理など典型的問題を題材にしています。
交通事故の賠償問題などは、読んでいて、「アホな家族もいるものだ」と思いましたが、実際に当事者になったら、案外同じような行動をとるものかもしれません。事故を起こしたショックで頭がパニックになってしまい、相手に言われるがままに念書やありもしない高級腕時計の支払いなどを求められ、それが全部保険金で支払われるものと勘違いして、全額支払ってしまう。領収書はなし。おそろしくて震えてしまいます。

ちなみに、私は交通事故を3度おこしたことがあります。車が2度、原付で1度。当然のことながら、すべてを保険屋同士の話し合いにして終了させました。下手に自分で処理しようとしたら、却って事態を悪化させかねません。基本は保険屋さんにお願いすることでしょう。

地上げなどは最近死語になってきましたが、バブル前後では当たり前のようにあったようですね。小さな土地を次々に買収して一つの大きな土地に纏め上げる。道路に面している大きな土地には巨大な建物を建設できるので、結果、土地の値段も数倍に跳ね上がる。売ったほうは相場より高い値段で売却できたので喜び、買ったほうは売却値の数倍で売ることができるのでもっと喜ぶ。土地の値段は鰻上りに上昇し、銀行は土地の価値以上の担保設定をして金を貸し出す。そしてバブルが弾けてみんな破産……。いや、おそろしい。

5.11(火)読了
純朴な青年が街金の営業部員として入社し、次第に染まっていく漫画。
実はこの漫画、大学の頃、講義を受け持っている弁護士から推薦されて読みました。実務面の様子がなかなか詳しく描かれているからと。たしかに、なかなか詳しく、そしてエグく描かれています。どんなに苦しくても街金で借りるものではないなーと勉強になります。

主人公の灰原はおよそ街金に似つかわしくない純朴な青年です。客に情をかけてしまい、上からドヤされることも多々あります。借りるときに書面を提示し契約書を交わし、客は自分の意思で金を借りていきます。街金とはいえ、帝国金融は当時の上限利息40%を超えていません。つまり違法性はない。


返済の遅滞や銀行取引停止で帝国金融に追い込みをかけられる様子が描写されていますが、遅滞1回で全額返済を迫るのは、少し乱暴だと思います。契約書に書かれているのだから、仕方がないといえばそれまでなのですが。

政府のほうも、金融に手を出して身の滅ぼす人が多いためか、今年から借りられる金額の上限を引き下げました。すでに上限いっぱいまで借りている人は、もう一銭も借りることはできません。一時的な混乱が起こるかもしれないな、と思います。しかしどこかで歯止めは必要です。この漫画を読んでいると、よりそれを感じてしまいます。

5.9(日)読了
パラオ取材、沖縄論、「The 樹海」など。
j副題のパトリというのは、パトリオティズム、つまり郷土という意味です。ナショナリズムは国家愛、国家主義ですが、それよりも小さい単位のパトリオティズムが先ずあって、それを拡大したところにナショナリズムがある。確かに、国を愛するというのは単位が大きすぎてピンとこない人が多いかもしれません。それよりもまずは自分の家族や友達など身近なところの「愛」から入っていき、最終的に国を愛する感覚が芽生えるのかもしれません。さらに推し進めると、人類愛などの博愛主義になるのでかもしれません。

沖縄のことがたくさん描かれていますが、この本にせんだって「沖縄論」という本が出版されていたようです。まだ読んだことがないのですが、どうやら沖縄上陸戦での悲惨な様子、特に旧日本軍が沖縄の住民に対して命じた事柄(壕から追い出したりしたなど)などが描かれているようです。どうやら旧日本軍は沖縄の住民にひどいこともしていたようです。

「The  樹海」は、富士の樹海で自殺する家族を描いたギャグ漫画。かなりブラックギャグなので、簡単に笑えないところもあります。

とりあえず、いま家にある「ゴー宣」関係はすべて読み終えました。まだ読んでいない「靖国論」「沖縄論」「いわゆるA級戦犯」などは手に入り次第読んで、感想を書きたいと思います。
それにしても小林よしのりって、本当に多作だなぁ。
5.7(金)読了
「わしズム」に書き下ろされたゴー宣を収録。
「わしズム」とは、小林氏が編集長となって創刊した雑誌。漫画家個人が雑誌を出版するなんてあまり聞いたことがない。さすがよしりん。

内容は、イラク戦争を中心とした戦争論関係と、紋別に流氷を見学に行ったときの話となっている。秘書がまだ金森氏だったこともあり、なかなか懐かしい。流氷見学から新秘書のみなちゃんになっている。21歳の若い秘書で、笑顔が良いらしいが、金森氏と比較するとキャラ立ちしていない。漫画のキャラとしてはイマイチだろう。

ゴー宣以上に読むのに時間がかかった。新書一冊読むのに2時間が目安らしいが、この漫画は2時間で読むのは難しい。文字が多く、内容も濃い。目が疲れる。ふー。狂牛病のホット(だった)話題もあり、出来は良い。自分が編集長ということもあり、ゴー宣以上に自由に描いているような気がする。すごいパワーだ。
定価1400円(+税)とちょっと高いが、買って読むだけの価値はある。自分はブックオフで100円で買ったけどね。
5.5(水)読了
靖国参拝、小泉政権批判など。
小泉、竹中路線は日本に格差を生み出し、弱肉強食の世界に変異させた。規制緩和を繰り返して、それを利用してのし上がったのが、かのライブドア社長、ホリエモンこと堀江氏。ホリエモンはM&Aを繰り返し、時価総額9000億円という巨大企業のトップに君臨した。広島から参院選に出馬し落選。このとき自民党は堀江氏を応援し、某選挙対策委員長は「彼は私の息子です!」とのたまった。確かに堀江氏は、小泉政権が産み落とした「息子」だったわけで。

小泉元総理が堂々と靖国神社に参拝しなかったことも批判している。当然のことを当然に行うべき、と小林氏はいうのだが、なかなかそうもいかないだろう。堂々と参拝しては批判され、参拝しなかったらまた批判され、結局、日にちをずらして「一礼」だけして参拝終了。残念ではあるが、仕方がないとも思う。騒ぎすぎる周りも悪いとも思う。

小泉政権下であるPR会社がレポートを提出。小泉支持層は、IQが低く、とにかく改革を推し進めることを望む人々に支えられているそうだ。「かっこいい」とか「政治のことはよく分からないけど、何かやってくれそう」という層である。一時期、支持率90%という異常な数値を維持していたが、PR会社の資料が正しければ、日本国民はほとんどバカということになる。そんなことはないと信じたい。
7.8(月)読了
主にイラク戦争について。
アメリカは大量破壊兵器を除去するという大儀を掲げてイラク戦争に突入したが、結局、フセインは大量破壊兵器を使用せず、見つかりもしなかった。途中からアメリカは戦争目的を、「フセインの独裁政権を打倒しイラクを民主化する」ことにすりかえた。やれやれ。

フセインが逮捕され、東京裁判よろしく戦勝国(アメリカ)の形ばかりの裁判が催され、あっけなくフセインは死刑に処される。占領統治は日本モデル、つまりアメリカ式民主化、ポチ化政策を目標に推し進められたが、アブクレイユ刑務所でのイラク捕虜に対する米兵の拷問、無体な行為が知られたこともあり、イラクのポチ化政策はあっけなく崩壊、イラク国民は反米というイデオロギーで結束される。

アメリカが滅茶苦茶にやっていたことは皆分かっていたでしょうが、インターネットの普及により、その無体ぶりが動画となって配信されるようになった。刑務所内でのイラク捕虜への拷問等を目の当たりにすると、日本人の自分でさえ、アメリカ憎しとなってしまう。
フセイン像が「米軍の」重機によって押し倒された時、「米軍から金をもらったイラク人のサクラ」たちは大喜びでバンザイをしていた。その様子が全世界に何度も配信されたが、すべてがやらせの茶番。むろん、なかには本当に喜んでいた人もいただろうが、大半の国民は米軍を歓迎していなかった。

今回のゴー宣はいつも以上に密度が高かった。
正直、小説を一冊読むのと変わらないくらい時間がかかる。これほど内容の詰まった漫画は他にないだろう。バリバリの右翼系なのがちょっと気にかかるが、意見がブレないのがいい。政権与党もこれくらいしっかりしてくれればいいのだが。


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