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読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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11.4(火)読了
ショートショート集。
この本は市のリサイクルショップで無料でもらいました。時間がなかったので、適当に選んで持って帰ってきたうちの1冊です。

中ごろまで読み進めていて「んっ?」と思いました。以前読んだことのある内容です。
それは「亭主調理法」という、腹立たしい亭主を殺してハンバーグにしてしまうというブラックユーモアです。調理本のような書き方で人間を料理するという内容が妙に怖くて、ずっと心に残っていたのだと思います。

いつ読んだのかと記憶をたぐってみたのですが、どうやら小学校高学年、11歳前後のようです。
土曜日の夕方に居間で寝転んで読んだ記憶があります。そのときもこの話を読み返したはずです。シーンとともに覚えています。
そんな昔の記憶が鮮明に残っているのに感動したと同時に、子供の頃に読んだ本は身につくのだなぁと感慨をおぼえました。

いつもならふいの再読を時間の無駄と思ってしまうところですが、今回はほのぼのとしてしまいました。
こういった再会もいいものですね。
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11.3(火)読了
第12回日本ホラー小説大賞受賞作。
異境の世界である「夜市」に入り込んだら、何かを買わなければ元の世界に戻れない主人公の男とガールフレンドは2人で「夜市」に入る。実は男性は2度目の進入だった。
男性が夜市に来た理由は、かつて夜市で人攫いに売り飛ばした、弟の救出だった。

80ページ弱の短編です。
発想と叙情的な雰囲気が良く、最後まで読ませる作品だと思いました。
ただ、大賞受賞はどうだろう。選評者の3氏はこぞって賞賛しているが、正直、佳作くらいではないかと思います。

書き下ろしで掲載されている「風の古道」。
現実世界から隔離されている「古道」に入り込んでしまった主人公とその親友。
設定は「夜市」と似ています。物の怪が出現するというのも同じ。作者は、ひとつの世界観を作り上げているようです。

内容的には「夜市」には及びません。
雰囲気は良いのですが、ストーリー性が少々弱く、オチも弱い。もうちょっと捻りが欲しい作品でした。

11.2(日)読了
元過激派を父親に持つ小学校6年生の主人公。父は物書きを、母は喫茶店を経営して生計を立てている。
年金徴収人や小学校教師と揉め、居候の男が派閥争いの結果、殺人を犯して懲役刑になる。父親もその煽りを受けて、取調べを受ける。嫌気がさした父親は、家族総勢で、故郷でもある西表島に移住することになる。

島では、伝説の活動家にして、大昔の島の英雄「アカハチ」の子孫とということで歓迎をうける。
廃村の打ち捨てられた一軒屋をひとつもらい、そこに住む。食料や生活用品は、島の人が好意で持ってきてくれる。相互扶助が当然の島なのだ。

主人公も5人だけの小学校に通い出して、居心地の良さを感じる。生活が軌道に乗り始めたころ、不動産屋がやってくる。リゾート開発のため、立ち退き要求をだされる。
父親は資本家と政府が嫌いというアナーキストを全開して、断固として拒否。マスコミが嗅ぎ付けて、連日ニュースを賑わすことになる。

東京に残った姉もやってきて、家族4人と島の人も一緒に戦ったが、結局は警察に捕まってしまう。両親は取り調べの最中に逃げ出し、船で南の誰も知らない幸福の島へと向かう……。

530ページを超える長編。前半が東京編、後半が西表島編となっています。
最初から最後まで飽きずに読ませます。主人公の男児が立ち読みする「あしたのジョー」が最後の複線になっているなど、ストーリー的にもおもしろい。

『最悪』と甲乙つけ難いけど、あえて『サウスバウンド』に軍配をあげます。
読んでみて損はない出来です。お勧め。

10.29(水)読了
涼宮ハルヒシリーズ第9巻。
今回から新キャラがぞくぞく登場してきます。
超能力者の藤原。未来人の橘京子。新ヒューマノイドインターフェースの周防九曜。そして、キョンの中学生時代の友人(女)にして神候補であったという佐々木さん。

前お3方は、世界を安定させるために佐々木さんを神にしようともくろんでいる。そのため、キョンと接触してくる。
一方、キョン側の3人は、簡単にいえばその3人と敵対関係にある。

新学期に入ったからかネタが続かないからか、ついに敵対勢力を投入してきましたな、谷川氏。
ついでに言うとこの巻、途中から物語が2つに分岐しています。
次巻(涼宮ハルヒの驚愕)に続く、とあるので、第10巻で種明かしということでしょう。

ところで、現在刊行されているのはこの9巻まで。
10巻はとうの昔(1年以上前?)に書きあがっており、刊行しようと思えばできる状態にあるそうですが、営業戦略上の要請により現在まで発行停止状態。
なんでも、TVアニメ化第2弾に併せて刊行する予定だとか。

いやいやいや、次巻に続く、でそれはないでしょう。
発刊された頃にはこの物語の内容は雲散霧消しており、再び9巻を再読しなければならないという、超面倒くさいハメになる。
なんて不親切かつ読者離れを生むような行為を……。
読者はそこまでバカじゃないぞ。読者の反感を買うぞ。人気、地に落ちるぞ。

さて、お怒りモードの私。
問う、10巻はいつ発刊されるのですか。
特段読みたいわけでもありませんが、せっかくここまで読み進めてきたのです。
記憶の新しいうちに刊行してください。立ち読みします。

10.28(火)読了
短編6編。
主人公の男性が大学浪人のために名古屋から東京に出てきたところから、就職した広告代理店、独立開業に至るまでを描いている。

おそらく、この主人公は著者自身の体験を元に再構成したものだと思います。年代的にも1980年代ということでマッチしているし。違ったらすみません。

主人公の久雄という人物については、少々鼻持ちならないところがあると思いました。
彼は大学を中退して広告代理店に就職しますが、それなりに有能であり、21歳の若さで部下を持ちます。その部下2人は要領が悪くてうまく仕事をこなせないのですが、それを見て久雄が説教をします。
説教は当然ですが、それをネタにして、クライアントと笑い者にする。読んでいて気分が悪くなりました。

純粋に本の内容については、可もなく不可もなくといったところ。青春小説のような感じ。いままで読んだ奥田作品のなかでは、
一番おもしろくありませんでした。読後感、個人的に悪し。

同時期に書かれた『最悪』はもとより、『ウランバーナの森』よりもはるかに下の水準にあると思います。といったら言い過ぎか。

10.27(月)読了
涼宮ハルヒシリーズ第7巻。400ページを超える長編、時間もの。
今回も時間が飛びかいます。掃除用具入れから朝比奈みくるが出て来たり、山中で宝探しをしたり、亀を川に逃がしたり、男性を病院送りにしたり、バレンタインチョコをもらったり、福は外で豆を投げたり、みくるに巫女装束を着せたり、エトセトラ。
とにかく長い一巻でした。

時間についてちょっと。
朝比奈みくる(大)は、未来から過去に干渉して、過去を上書き消去できるというような意味のことを示唆していましたが、物理学的にいったらこれは間違い。
未来から過去に干渉できる、は異論ありません。できると思います。問題は、過去を上書き消去できるという部分。

平行宇宙論的に考えると、無限に存在する過去の中から、そのうちの一つを選択するというのが正解。上書き消去ではなく、方向性を定めるのです。
決して消去はされません。消去されたと感じるのは3次元限定の狭い視野であり、より高次元から俯瞰すれば、過去および未来の方向性はすべて存在したままです。個々人および集団による選択によって過去および未来の方向性が変化することはあります。そのすべての情報は、アカシックレコードという情報端末にインプットされています。これが長門の親玉である、情報統合思念体のことですね。

もっとも、谷川氏もそのことは十分解っていると思います。話をおもしろくするために、わざと理論を作りだしているのでしょう。

次はついに現在刊行されている第9巻。
はーあ、ついにここまでたどりついたか。心して読みましょう。
10.22(水)読了
奥田英朗の処女作。なんというか、彼の最初の作品がこんなにシリアスなものだとは、正直以外でした。文章的にもちょっと硬いかな。
雰囲気でいえば、村上龍の作品のようであり、村上春樹を連想させる単語が書かれていたりして、いい意味でも悪い意味でも1970年代の物語でした。

内容は、ジョン(ジョン・レノンのこと)が過去のトラウマに苛まれて、最後には救いを得られるという話。暗い雰囲気の部分もありましたが、お得意のユーモラスな場面も盛り込んでおり、処女作としてはまずまずの出来だと思います。

タイトルの「ウランバーナ」というのは、作中でも説明がありましたが、サンスクリット語で「最悪」という意味らしいです。日本では訛って「盂蘭盆会」となったそうです。
なんでも、お釈迦さまの弟子である目連(モッガラーナ)が、地獄に落ちて苦しんでいる母親を見つけ、なんとか天国に送りたいと思った。お釈迦さまの知恵を借り、旧暦の7月15日に救うことができた。それを記念して釈迦がその日を「ウランバーナ」の日と定めた、とのこと。

作中では、ウランバーナの森は、救済の森とでも呼びたくなるほど素晴らしいものでした。
結論的には、ハッピーエンド。読後感もまずまず。お得意の(?)精神科医も登場しています
。(伊良部一郎にあらず)

奥田英朗の作品としてはちょっと物足りない気もしますが、それは彼の作品がどれもすばらしすぎるから。十分、読むに耐える内容にはなっています。
10.21(火)読了
涼宮ハルヒシリーズ第8巻。中篇2編。

・編集長★一直線!……文芸部の活動をまったくしていないことを理由に、新生徒会長が文芸部の廃部を通告する。そうなると、必然的にSOS団も部室がなくなり、消滅の危機に瀕することになる。
文芸部廃部を免れるためにハルヒたちは、生徒会長に言いつけられた文芸活動であることころの「部報」を制作、発行することにする。執筆陣はSOS団メンバーおよび準メンバーたち。キョンは恋愛小説を書かされるハメになるが……・

 なかなかおもしろい話に仕上がっています。新生徒会長は「機関」の息のかかった人、つまり古泉のお仲間です。ハルヒを退屈させないために、廃部の危機を作り上げたわけですね。おつかれさまです。

・ワンダリング・シャドウ……SOS団に喜緑さん以来の依頼が!(シャレにあらず)
ハルヒのクラスメイトの阪中さんの飼っている犬が、散歩中に怯えるようになる。阪中さんいわく、「幽霊がいるのではないか」。真相を確かめてほしいと依頼されたSOS団。
結局、その正体は幽霊ではなく、思念体の一種だった。思念体が隕石のように宇宙から降ってきて、落下地点を中心に犬たちは近寄れなくなったというわけ。おまけに思念体が犬にとりつき、病気のようになってしまう。長門がキョンの飼い猫「シャミセン」に乗り移させて、めでたしめでたし。シャミーはますます変態猫になってしまったとさ。なんせ、人語を操って思念体を抱えている猫なんだもん。地球上に2匹といないでしょう。

今回は7巻をすっとばして8巻を読了してしまいました。
これというのも、図書館で7巻の返却が遅い先客のせい……って、シャレみたい。
いまさっきネット予約をみたら、ようやく返却してくれたようなので、近々借りて7巻読もうと思います。われながら、律儀だなぁ、ほんと。
10.20(月)読了
奥田英朗の長編小説。
町工場の親父とヤクザまがいの少年と女性銀行職員の3人が物語を紡ぎあげます。
最初はバラバラに物語が進行していますが、後半から徐々に接点が出来あがっていき、最後で3者がくっつくという設定。

主人公役の3人は3人とも、それぞれ「最悪」な状況に陥っています。
そのなかでも特に町工場の親父さんの悲惨度はかなりのもので、読んでいてハラハラするやら同情するやらで、気がつけば物語にどっぷりつかっていました。

奥田氏の小説は中短編しか読んだことがありませんでしたが、この長編を読んで、やはりただ者ではないと思いました。おもしろい。
特に描写力はかなりのものだと思います。工場仕事の様子などはかなり具体的で、ぐいぐいと引き込まれます。
貴志裕介にちょっと似ているかな。『黒い家』を思い出しました。

最後の設定は少々ご都合主義的なところもありますが、エンターテイメントとしては十分楽しめるものとなっています。

2段組400ページと少々長い小説ですが、読後感は良いです。
この内容と重量感にもかかわらず、この本って何の賞も受賞していないんですね。獲ってるのかな?
個々人的には、直木賞候補になっていても不思議ではないほどの出来だと思います。
大満足の1冊でした。
10.17(金)読了
中短編集。今回は伊良部一郎精神科医が出演しています。
いつものように伊良部医師は注射場面を眺めながら興奮しています。変態です。
ちょっと変化があったのは看護婦(看護士ではない)のマユミちゃん。いつもより多少アグレッシブになっています。ほんの微妙な変化ですが、見逃すべからず。

この巻は、タイトルの「町長選挙」以外すべて、実在の人物を風刺しています。
具体的にいうと「ナベツネ」「ホリエモン」「杉田かおる」。はっきりいって、めちゃくちゃおもしろい。そして、感動したりちょっとほろりとしたりします。冗長ですが、本当におもしろい。

この人は本当にユーモア小説が本当に上手い。電車で読んだら大笑いするかもしれません。
この本以外にも3冊読んだことがありますが、短編集すべておもしろかった。いまのところ、ハズレはありません。

現在は『最悪』という本を読んでいます。
これは氏の2作目の作品で、シリアスな長編小説です。
まだ序盤(60ページくらい)ですが、読ませます。すばらしい。

本当は処女作『ウランバーナの森』を先に読もうと思っていたのですが、図書館の予約の関係でこちらを読むのが先になりました。本屋で購入して前作揃えたほうがよかったかなと、ちょっと後悔。

はっきり言いますが、奥田英朗という作家は、私の中でベスト3に入る小説家です。
大尊敬する貴志裕介氏に勝るとも劣らない、それほどの物を書かれていると思います。
あえて言います。この人の作品をひとつでいいから読んでみてください。はまること請け合いです。


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