読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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3.5(木)読了
接待中に死亡した商社マンの椿山。死して彼は死後の世界に旅立つ。そこでは役所のように死後のコースが定められており、悔恨の証にボタンを押すさえすれば、ほとんどの魂が極楽に行けるというシステムになっていた。 椿山はまだ死ぬわけにはいかない。百貨店は初夏販売促進セールの初日を迎えており、このセールが売上目標達成できるか否かの分かれ目だった。そして家には愛する妻子もいて、昨年購入した一軒家のローンもたくさん残っている。おまけに書斎の机の引き出しには、趣味のエロ本、エロビデオが押し込まれている……。椿山はボタンを押さずに、現世へ戻るための聴聞を希望する。聴聞室では椿山の他に2人の魂がいた。一人は元ヤクザ、もう一人は7歳の男の子だという。それぞれ現世に未練を持っており、聴聞を受けに来たのだそうだ。 お役所仕事のおかげで、「特例」として3人とも現世へ戻ることが許可された。戻れる期間は初七日までで、正味3日しか残されていない。椿山は寝て目覚めると、自分が若い女の姿に変わっていることに気が付く。この姿で、「期限遵守」「復讐禁止」「正体がばれない」の3点を守りながら行動しなければならない。もし破れば、地獄行き。 3人はそれぞれのやるべきことをやるため、行動に移る。 主人公が最初の場面で死んでしまうという斬新なストーリーです。現世に戻った3人は、実は複雑に絡み合った3つの魂でした。いかにも小説っていう感じで、「そんなわけねえだろ」と言いたくなりますが、そこはそれ。ミステリの要素も入っているので、その分野が好きな人も楽しめると思います。 この本を読む2日前、テレビでこの本の放映がされていました。2時間ものでしたが、読む前に観るわけにはいきません。読んだ後に、「あの場面はどういうふうに撮ってるのかな?」と観るのはいいのですが、逆はねぇ……。 なかなかおもしろい本だったので、いつか機会があればテレビ版もみてみたいと思います。 PR
3.3(火)読了
プリズンホテルこと奥湯元あじさいホテル。任侠御用達のホテルに今回も訳ありの客が登場する。リストラ寸前の女編集者、自殺志望の少年、世界的登山家、患者を安楽死させたペインクリニックの権威、そして<血まみれのマリア>という異名を持つ救急救命看護士。 以上の五人を中心に物語が進行しますが、主として登山家と少年、医者と看護士の話が独立平衡して2本立ての物語となっていると考えたるといいでしょう。 さらに今回のラストは、主人公である小説家がパープーお清にプロポーズを……そうきたか、浅田次郎。べたべたのラブストーリー仕立てにしちゃいましたね。 今回のストーリーのテーマを一言でいうと、「生きる」ということでしょうか。みんながみんな生死に関わるところで、プリズンホテルで何がしかの結論じみたものを手に入れています(女編集者は定かではないが)。 気にかかったのは、少年が登山家とのジャンケンで勝ってしまったこと。あれはどういう意味だろう? 少年は自殺を決意したのだろうか……? 著者に問いただしたいところではある。
3.2(月)読了
浅田次郎が競馬場で語った内容を友人が書き留め、それを叩き台として一冊のエッセイ集にしたというタナボタ的な本。 ほとんどが競馬に関する内容で、本業である小説家としての姿はなりを潜めています。浅田氏の競馬に対する情熱および真摯な態度にはおもわず平伏してしまいます。 競馬だけではなく、ラスベガスに行ってカジノに耽溺したり、オーストラリア、香港、旧満州を訪問したこもと多数書かれています。どこに行っても競馬やカジノで遊んでいるなーと感心しました。 巻末には秋元康氏との対談の様子も掲載されています。ご両人とも中央大学付属高校卒でギャンブル好きということもあり、とても和やかな雰囲気で語り合っています。お二人とも高校時代から、競馬、麻雀、ギャンブルに浸っていたという本格派です。 ちなみに私はギャンブルはしません。パチンコすらも敬遠しています。 ほんの少し負けただけで一日中ガックリしそうだし、のめり込んで所持金全部とられてスッテンテンになってそうだし。 お遊び程度でやるんならいいけど、度を越したら大変なので、絶対にや・り・ま・せん!
3.1(日)読了
対談集。14人の主に作家とさまざまな事柄について話し合っている。 注目すべきは、元台湾総統の李登輝との対談だ。漫画家の小林よしのり氏の『ゴーマニズム宣言』というフィクション漫画があって、そこで台湾問題を論じている回があるのだが、そこで李登輝と小林氏が対談したときの様子が描かれている。それ以来、私は李登輝に親密感を持っている(かなり単純)。 李登輝と浅田氏は主に教育について語り合っているが、その要というか土台が、日本人の場合は「武士道」であるという。一方の台湾にはそれに相当するものが無いようだ。台湾という中国との微妙な位置関係も影響しているのだと思う。中国には「儒教」という堂々とした思想がある。日本は「武士道」。台湾は……ということで、「家庭教育法」という法律を制定したそうだ。法律は道徳の最小限度という考え方があるが、道徳の土台を法律で律しなければならない国というのは不幸だと思う。ま、今の日本もそうかもしれないけど。 そのほか、アイヌの歴史や幕末日本を中心に、大勢の歴史作家と語り合っています。エッセイ集とは打って変わって真剣な内容に、浅田氏の小説に対する真摯な態度を垣間見ることができます。対談本っていいっすね。
2.28(土)読了
1000年後の日本を描いたSFファンタジー小説。 八丁標という結界に守られた人間の住む町。八丁標から外に出ると、おそろしい業魔が襲ってくると大人は子供を教育し、子供はそれを忠実に守っている。そしてこの時代の人間はみな、超能力を使用することができた。 学校の7日間合宿で、早季のグループは興味本位から八丁標から外に出てしまった。その罰として、超能力を奪われてしまう。 八丁標の外では、人間並みの知能を持つようになったバケネズミたちが激しい縄張り争いを繰り広げていた。超能力を持つ人間たちを「神」と崇めているドブネズミたちは、早季たちに敵対する外来種のバケネズミたちの退治を依頼する。早季たちはそれに応じ、外来種を全滅。無事、家に戻る。 2年後、早季のグループの優等生、瞬の様子がおかしい。どうやら業魔(橋本・アッベルバウム症候群)に侵され、超能力の放出が制御できなくなってしまったらしい。瞬は結界内の小屋に入れられる。早季は瞬を救いに小屋に行くが、ついに瞬は超能力の放出を抑えきれなくなり、小屋もろとも地面に沈んでいってしまった。早季を空高く脱出させて。 尊敬する貴志先生の最新作(といっても1年前に刊行)ですが、それほどおもしろいと感じない。10代前半~中盤の少年少女が主人公ということもあって、少しライトノベルのような感じがする。ご都合主義的なところも多々見受けられ、主人公の少女、早季の思い描いたことがバカ正直にそのままストーリー展開に反映されている。言い方は悪いが、素人が書いた小説っぽい。 まぁ、この作品は貴志氏の実質的な処女作であり(『13番目のペルソISORA』以前に書かれている)、1800枚もの分量にリメイクして刊行したもののようなので、素人っぽいのは無理もないかもしれない。冗長なシーンもいくつかあり、できればあと100ページくらい削って作品の密度を上げてもらいたかった。無意味に長い小説は読む時間の無駄であり、疲労も溜まる。 今回はかなり辛口のコメントです。貴志祐介は私が最高の作家の一人として位置づけている人物なので、心を鬼にして辛口です(偉そうに)。 それに、まだ上巻を読んだだけです。おもしろくなりそうな雰囲気はかなりしているので、不安と期待を抱いて下巻を読んでいきたいと思います。
2.24(火)読了
エッセイ集。第一巻『勇気凛々ルリの色』よりもおとなしくなった印象がある。そして、『蒼穹の昴』を脱稿し出版したのがよほどうれしかったのか、それについて何度も語っている。ネタが無いのか? といぶかしむほどだ。 本書の副題に「四十肩」とあるが、浅田氏は44歳でこれになってしまったそうだ。いわく、背中の肩甲骨の下のあたりの、指先ほどの面積が呻くほど痛い、のだそうだ。凝りとは違うのだろう。しばらくすると軽快したようだが、なりたくない病?である。 ダイエットネタもいくつか。浅田氏は高コレステロールと診断され、ダイエットを命令された。その結果5キロの減量に成功したそうだが、再度検査でコレステロールは一向に減少していない。それもそのはず、このヒト、ちゃんとした食事をとらずに毎日チョコレートケーキの一本食いや大福などをたらふく食べて、ちょうじり合わせのようにして「見かけの」体重を減らしていたのである。最悪。 というようなエッセイ集。三巻を先に読んだが、ネタの重複はあきらかで、やっつけ仕事の感はいなめない。四巻が出ても読むかどうか微妙。
2.23(月)読了
プリズンホテルこと奥湯元あじかいホテルに同時宿泊した警察御一行様と任侠団体御一行様。鉢合わせに全員が気付いたのは夜の宴会の場であり、折りしも警察御一行の食卓には油フォンデュの用意が整ったところであった。対する任侠団体御一行の善は1人6万円の豪華な膳で、食器が多数。当然のように争いが始まり、鉄串や食器が乱れ飛び、両御一行入り乱れての大乱闘となる……。 このテーマは浅田氏が実際に任侠団体に所属(?)していた頃にあった話を再構成したもののようです。浅田氏が所属していた任侠団体の隣の部屋では警察団体が宴会をおこなっている、しかもそのホテル(旅館?)を手配したのは浅田氏ということで、「生きた心地がしなかった」とエッセイ集で本人が語っています。 人間関係が入り乱れすぎていて、読むのが大変でした。私はミステリをほとんど読まないのは人物相関図が頭に入りきらないのが主たる原因なので、この本は私の弱点をズバリついています。 人間関係を複雑にし過ぎないで欲しい、と叫びたくなる一冊でした。 2.19(木)読了
2.17(火)読了
浅田次郎の初期作品。ヤクザの憩いの場である「あじさいホテル」は、その客層からプリズン(監獄)ホテルと呼ばれている。極道小説で売れっ子になった作家、木戸孝之助は叔父の経営するこのプリズンホテルに逗留することになったが、そこでの出来事はまさに、事実は小説よりも奇を地で行くものだった。 多数を占める極道とごく少数の素人さんが宿泊するこのホテル、木戸の宿泊した時はとりわけ妙な客層だった。任侠団体御一行は常のことだが、流れのヒットマン、超一流ホテルから飛ばされてきた支配人と超一流フレンチシェフ、会社が破産して心中希望の一家四人、そして――木戸孝之助の実の母親。 この小説は浅田次郎の自伝的内容になっているそうです。彼のエッセイ集をあらかじめ読んでいたので、「ああ、なるほど……」と合点がいきました。浅田氏は幼いころ両親が離婚しており、腹違いの兄弟も何人かいるそうです。その他複雑な事情が多数あったようで、とても苦労されたそうです。その実体験を下敷きにしてこの小説を執筆したと。 内容的には、まずまずおもしろいのですが、初期作品ということもあってか浅田氏の特色である緻密な文章は成りをひそめていて、軽いタッチですーっと書いているといった印象です。ややライト感覚で読めるので、一冊を読みきる時間は思ったより短いです。 「プリズンホテル」シリーズは全四巻あって、1994年にテレビドラマ化もされたようですが、よく覚えていません。これから一気に全巻読破したいと思います。
2.15(日)読了
対談集。16人の作家・文化人と対談しています。 話の内容は人によって千差万別ですが、割とギャンブル関係の対話が多かった気がします。浅田氏は競馬をこよなく愛しているので(馬主でもあるそうです)、そのつながりでのセッティンでしょう。 浅田氏の生涯(まだ生きているが)も多数語られています。彼は幼い頃はお金持ちのボンボンの息子で、私立幼稚園に通いバブリーな生活をしていたそうですが、中学生の頃に家が破産、両親の離婚などがあって、高校卒業後にかなり苦労をされたそうです。ヤクザな世界に足を踏み込んだのも、多少のリスクを背負っても短い時間で高収入を得られ、空いた時間で小説を書きたいからだそうです。「小説家になる意外は考えられなかった」そうです。 しかしヤクザな世界が光明をもたらした。その自伝的小説でデビューを果たし、ついには直木賞を受賞。塞翁が馬というか。人間なにが幸いするかわからないものですね。むろん、努力の賜物であることは言うまでもありませんが。 |
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