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読書日記を感想文的に書き綴っています。「お知らせ」には日々の雑感、興味のある分野を記載しています。
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11.8(土)読了
奥田英朗の第3作目。450ページ2段組の長編犯罪小説。
会社の商品の横流しを隠すために放火をおこなった会社員。それがもとで、
平凡な家庭がもろくも崩壊していく。
会社とヤクザと刑事の3者が織り成して物語が進行する。放火犯の会社員の妻はパート先で共産党関係の運動に参加。いいように使われて、周囲との軋轢を生む。夫とは離婚を決意し、子供たちを犯罪者の子にはしたくない一心で、夫のアリバイ作りのために放火。はずみで刑事を刺してしまう。

ストーリー展開は、前作『最悪』と同様に3者の3人称方式で進行していきます。
短い文章で淡々とセンテンスを重ねるのが、奥田流です。描写力もすばらしく、読んでいて気持ちいいです。

ストーリー関係でひとつ不満なのは、九野刑事の義母の存在です。
数年前の事故で彼女は死んだということになっているのですが、その理由も、現在の義母が誰であるのかも書かれていません。義母の不動産を不動産屋が問い合わせてきたという事実も、意味のないものになっています。
致命的欠陥というわけではありませんが、他がかなり良い出来であるだけに残念です。

全体的にみて、傑作の部類に入ると思います。社会派の作品を書いたらピカ1ですね。おすすめ。
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